和光中学校 の過去問分析
和光中学校の過去問を年度ごとに数えて、何が固定で何が毎年変わるか・よく出る単元・過去問の使い方をまとめたページです。
和光中学校 過去問分析(2018〜2019 年度・算数 2 年分/理科・社会 各 1 年分)
更新 2026-08-20。
1. この学校の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都町田市 |
| 男女 | 共学 |
| 入試回と日程・科目 | 第 1 回 2 月 1 日午前(約 30 名)/第 2 回 2 月 4 日午前(約 10 名)/第 3 回 2 月 11 日午後(約 10 名)。いずれも 2 科(国語・算数)(2027 年度募集要項) |
| 試験時間 | 第 1 回・第 2 回は国語・算数とも各 45 分。第 3 回だけ国語・算数とも各 40 分 |
| 配点 | 配点は募集要項で確認してください |
| 面接 | 全回で面接があります |
いまの小 6 は 2027 年 2 月、小 5 は 2028 年、小 4 は 2029 年の入試を受けます。
2. このページでわかること
このページは、どんな問題が出るか・家で何をやるかだけを扱います。難易度・偏差値・合格可能性・入試結果は扱いません(偏差値 / 募集要項・入試結果)。
過去問そのものの回し方は 過去問の使い方、受験用語は 用語集 にまとめてあります。
以下、大問(問題の大きなかたまり)・小問(その中の一問)という言い方をします。
3. まず結論だけ(10 行)
結論
- 算数は、精読した 2 年(2018・2019)で大問 1 の計算 10 問の並び順そのものがほぼ一致します。同じ問題が出るのではなく、同じ種類の問題が同じ場所に出ます。
- 算数の答え方はとても素直で、21〜22 問すべてが短答(語句や数値を短く答える形式)です。記号選択も、途中式を書かせる問題も、文章で説明させる問題もありません。
- 理科・社会(2018 年)には文で説明させる問題が 2 割ずつあり、科目によって求められる出し方がはっきり違います。
家でやること 3 つ
- 大問 1 の計算 10 問を「1 セット」にして毎日回します。
- 一行問題(数行で終わる短い文章題)の単元を、穴を作らずひととおり一巡します。
- 平面図形の面積比と、立体の体積・表面積・回転体を通しておきます。
今週やる 1 つ
- 手元の過去問集で、大問 1 の (1) だけを縦に、(2) だけを縦に……と並べて解いてみます。
注意
- 資料は 4 冊・2018〜2019 年度だけで、国語は 1 冊もありません。現在の入試は国語・算数の 2 科で、理科・社会は実施科目ではありません(→ 13 節)。
4. 資料の状況
どの年をどこまで見たかを、3 つに分けて書きます。精読した年(設問文まで読んだ年)/構成だけ数えた年(大問の並びだけを数えた年)/資料のある年(転写が存在する年)。転写=過去問の紙面を文字データに起こしたもの、です。
| 科目 | 精読した年 | 構成だけ数えた年 | 資料のある年 | 大問数 | 小問数 | 判読の確度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 算数 | 2 年(2018・2019) | 0 年 | 2 年(2018・2019) | 2 → 4 | 21 → 22 | 高(判読できなかった箇所の記録なし) |
| 理科 | 1 年(2018) | 0 年 | 1 年(2018) | 4 | 25 | 高(同上) |
| 社会 | 1 年(2018) | 0 年 | 1 年(2018) | 5 | 15 | 高(同上) |
| 国語 | 0 年 | 0 年 | 0 年 | — | — | 資料なし |
- 手元にある過去問資料は 4 冊しかありません。算数が 2018・2019 年度の 2 冊、理科が 2018 年度の 1 冊、社会が 2018 年度の 1 冊で、国語は 1 冊もありません。年度も 2018〜2019 で止まっていて、直近の入試は 1 年分も精読できていません。
- 収録冊子の校名は全校・全冊で照合済みです(別校の冊子が混じっていた場合はこの節に明記しています)。
- 入試回(第 1 回・第 2 回のように、同じ学校が日を変えて行う入試のそれぞれ)は特定できません。転写元 PDF に回の表記が残っていたのは 2018 年度の理科だけで、そこには「第 1 回入学試験の理科の問題」とあります。算数 2 冊と社会 1 冊には回の記載がありません。同じ回の冊子が揃っているかどうかは確認できないので、このレポートでは回を断定しません。
- 国語は 1 年分も資料にありません。著作権処理の関係で本文を掲載できず、過去問データベースに載らない年が多いためです。出典(著者・作品)の記録もありません。
- 4 冊とも解答用紙が同じ PDF に綴じ込まれていました(算数 2019 は裏面の計算用紙も同梱)。計算用紙が別に用意されていることは、算数の解き方を考えるうえで意味があります。
- 分量はどの科目も A4 換算 5〜6 頁ぶんです。
- このため、他校のレポートで書けるはずのこと——「何年連続で同じ場所に同じ単元が来る」「この単元は 5 年周期で戻ってくる」「近年こう変わった」——は、この学校についてはほとんど書けません。書けるのは 2 つだけです。1 つは算数について、2018 年と 2019 年の 2 年分を突き合わせて言えること(並びの共通点は、2 年分ではありますが原本で確認しました)。もう 1 つは理科・社会について、2018 年の 1 冊がどんな作りだったか(1 年分なので、反復も周期も一切言えません)。
- 資料と現在の入試のあいだにずれがあります。学校の公表資料に記録された 2027 年度の募集要項では、第 1 回・第 2 回・第 3 回のいずれも科目は国語・算数の 2 科(+面接)で、理科・社会は実施科目に入っていません(日程・時間は 1 節)。一方この資料にある 2018 年度は理科・社会の冊子が存在します。8 年前と現在で科目の構成が違うということなので、8-2 節(理科)・8-3 節(社会)は「今の入試の準備」としてではなく、「この学校が問題を作るとき何を大事にしていたか」の資料として読んでください。
5. 一番大きな結論
算数については、「同じ問題が出る」のではなく「同じ種類の問題が同じ場所に出る」学校に見えます。 精読した 2 年(2018・2019)で、算数の大問 1 は両年とも「次の計算をしなさい。」で始まる計算 10 問であり、しかも (1) 整数の四則混合 →(3) 小数のひき算 →(5) 小数のわり算 →(6) 分数の加減 →(7) 帯分数の乗除 →(9) 小数と分数の混ざったかっこ入り →(10) 中かっこ入りの四則混合、という 10 問の並び順そのものが 2 年でほぼ一致しています。数字は毎年入れ替わるので同じ問題ではありません。ですが「何番目に何をやらされるか」は揃っています。
大問 2 も両年とも「次の□([ ])に当てはまる答えを求めなさい。」で始まる一行問題の詰め合わせで、その (1) は 2 年とも「小数 1 つ・分数 2 つを大きい順に並べる」です。
だから過去問の使い方は「出る問題を覚える」でも「年度通しの時間配分を練習する」でもなく、同じ座席(問題の置き場所)の問題を縦に並べて、その位置の処理を手順として固める、に近くなります。大問 1 の 10 問を毎回のメニューとして繰り返すのが、この資料から言える最も具体的な使い方です(回し方の手順は 過去問の使い方)。
ただし 2 年分での確認であることは繰り返しておきます。3 年目以降も同じ並びかどうかは、市販の過去問集で自分の目で確かめてください。
もう 1 つの結論は、答え方がとても素直だということです。算数は精読した 2 年とも 21〜22 問すべてが短答で、記号選択も、途中式を書かせる問題も、文章で説明させる問題も 1 問もありません。答えが合っているかどうかだけが問われます。一方で理科・社会(2018 年)には文で説明させる問題が 2 割ずつあり、科目によって求められる出し方がはっきり違います。
6. この学校らしさが出る場所
理科・社会(2018 年)に、教科書の外側とつながる問いが目立ちます。 断定は避けますが、次の 3 か所は他校の冊子ではあまり見ない作りに見えます。
- 理科の大問 3 —— 15 個の生き物を 15 個の説明文に対応させる問題で、説明文が「毒蛇を退治するためにつれてきたが、他の野生動物を捕食し…」「アニメの影響でペットとして輸入されたが、大人になると凶暴なので捨てられ…」「船のバランスをとるための海水タンクや、船底に付着して日本にやって来て…」と、すべて人と生き物の関係で書かれています。生き物の体のつくりを問う問題は 1 問もありません。
- 社会の大問 5 —— 導入文が「時事問題(歴史・公民的分野)」で、ICAN のノーベル平和賞、サーロー節子さんの受賞演説、演説で使われた「共犯者」という語を扱います。入試の前年に起きたことを、報道で追っていた前提で書かせています。
- 理科の大問 4 —— カエデの種子の絵 1 枚を見せ、「どのような特徴がありますか。また、それは何のためなのか、考え理由を説明しなさい」。知識を思い出す問題ではなく、目の前の形から働きを推し量って言葉にする問題です。
算数のほうは対照的に落ち着いていて、題材のクセは薄いほうです。強いて言えば、一行問題の場面設定がサッカーのシュート数の表、中学生 7 人の年間読書数、正方形の通路を 3 人が別々の速さで移動する図など、身のまわりに寄せてあります。2019 年の計算 (9) には 9012 − 2019 とその年の年号が仕込まれていました(2018 年の同じ位置には見当たりません)。
7. 今からやるなら(優先順)
想定している学年: 受験学年(小 6)の、過去問演習に入っている段階を前提にしています。小 5 以前の方は、11 節の学年別の段を先に読んでください。国語は資料が無いため項目に入っていませんが、現行入試の 2 科の片方であり、配分としては算数と同等に扱うのが自然です。
各項目の根拠(年度と実例)は 8 節(科目別の詳細)を参照してください。先頭の [ ] は家での回し方の目安、末尾の(確認: 〜◯年度)は、その内容を原本で確認できている最後の年度です。
- [毎日 10 分] 算数・大問 1 の計算 10 問を「1 セット」として毎日回す。 8-1 節の対応表の (1)〜(10) がそのままメニューになります。時間を計り、10 問全部を落とさない状態を作ります。とくに (3)(5)(10) は 2 年とも骨組みが同じなので、反復が直に効きます。(10) の中かっこ入りの四則混合は 2 年とも「{ 整数 − 整数 ×( 整数 + 整数 ) }× 整数 − 整数」という同じ骨組みで、{ } と ( ) の 2 重は小 5 で一度できるようになった後に崩れやすいところです。(9) の小数と分数が混ざったかっこ入りは、小数を分数に直すか分数を小数に直すか、判断を毎回同じ手順にしておきます。(3)(5) の小数のひき算・わり算は位取りだけの問題ですが、2 年とも同じ位置にあり、落とすと痛いところです。(確認: 〜2019 年度)
- [毎日 10 分] 算数・小数と分数の大小比較(大問 2 の 1 問目の位置) — 2 年とも同じ位置に出ました。3 つを並べ替える形です。通分か小数化か、どちらで揃えるかを決めておきます。(確認: 〜2019 年度)
- [週 1 回] 算数・年齢算(年の差が変わらないことを使う文章題) — 2018・2019 の両年に登場します。差が変わらないことを線分図で処理します。(確認: 〜2019 年度)
- [週 1 回] 算数・一行問題の単元を穴なく回す — 精読した 2 年に出たものを挙げると、約数、単位あたりの量、時間の計算、縮尺(1:25000)、和差算・分配算、食塩水の濃度、表の空欄からの逆算(□にあてはまる数を求める計算)、集合、売買損益(消費税・割引・切り捨て)、平均算、カードで 2 けたの数を作る、速さ。単位換算そのものを答えにする問題(m と cm、L と mL)も混ざります。ここに出てくる和差算・分配算・売買損益・平均算などの中身は 用語集 にあります。(確認: 〜2019 年度)
- [週末 60 分] 算数・平面図形の面積比 — 2019 年の大問 3(直角二等辺三角形を半分ずつに切っていく)、2018 年の大問 2(11)(相似な直角三角形の階段状の並び)。「半分にする」「相似比」で処理する練習です。(確認: 〜2019 年度)
- [週末 60 分] 算数・立体の体積と表面積、そして回転体 — 2019 年の大問 4(半円柱を 2 つつないだ立体)と 2018 年の大問 2(11)②(辺 BC を軸にした回転体)。円周率は 2 年とも 3.14。「半円柱を 2 つつないだ」ような素直でない立体の表面積を、面ごとに分けて足す手順で処理します。(確認: 〜2019 年度)
- [週末 60 分] 算数・方眼の上の図形の面積 — 2018 年大問 2(10)。直線と 4 分の 3 円弧の組み合わせを、1 マス=1cm で数えて出します。(確認: 〜2018 年度)
- [週末 60 分] 理科・社会は現行の実施科目ではないため、この学校向けの対策としては優先度が下がります — 8-2 節・8-3 節は、他校との併願で理科・社会を使う場合の素材として読んでください。準備の中身もその 2 節にまとめてあります。(確認: 〜2018 年度)
8. 科目別の詳細
科目ごとの要点(一覧)
| 科目 | 形式の固定度(精読した年数) | 中身の性格 | 最優先で時間をかける価値があること |
|---|---|---|---|
| 算数 | 2 年で大問 1 の中身と並びが一致。大問数は 2→4 に見えるが、実質は図形題材の置き場所が変わっただけ(8-1 節) | 計算がおよそ 5 割弱。残りを割合・文章題/平面図形/数の性質/速さが分け合う。分野は薄く広い | 計算 10 問を並び順ごと固める。次に一行問題をひととおり一巡する |
| 理科 | 1 年のみ。固定かどうかは判断できない | 濃度の計算・状態変化の説明・生き物と人の関わり・種子の形。実験装置を読ませる作りではない | 濃度計算と、状態変化を「物質名+状態」で書く練習 |
| 社会 | 1 年のみ。固定かどうかは判断できない | 歴史/文化財/公民(環境)/地理(公害)/時事の 5 分野を 1 大問ずつ。前年のニュースが直接問題になっていた | 分野の穴を作らないこと。加えてその年のニュース |
| 国語 | 資料なし | — | 市販の過去問集で確認 |
8-1. 算数(2018・2019 年度の 2 年分・大問 2〜4・小問 21〜22・答えのみ)
年度×大問の題材表(精読した 2 年)
| 年度 | 大問数 | 小問数 | 大問 1 | 大問 2 | 大問 3 | 大問 4 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2018 | 2 | 21 | 計算 10 問(整数・小数・分数・かっこ 2 重) | 一行問題 11 問(大小比較/約数/単位あたり/時間の計算/縮尺/和差算/濃度/年齢算/表の読み取り/方眼上の面積/相似と回転体) | — | — |
| 2019 | 4 | 22 | 計算 10 問(整数・小数・分数・かっこ 2 重) | 一行問題 8 問(大小比較/わり算の余り/集合/売買損益/平均算/カードで 2 けた/年齢算/正方形の通路上の速さ) | 直角二等辺三角形を半分ずつに切る(面積比) | 半円柱を 2 つつないだ立体(体積・表面積) |
「2018 年は大問 2 つ、2019 年は 4 つ」と数だけ見ると作りが変わったように見えますが、原本を開くと中身の落差はもっと小さいものです。2018 年の大問 2(11) は「①白い部分の面積の合計」「②辺 BC を軸に回転させたときの立体の体積」という 2 段構えで、独立した図形問題 1 題分の重さがあります。2019 年はこの種の図形題材を大問 2 から外に出して大問 3・大問 4 に独立させた、という並べ替えに近いものです。「大問数が増えた=出題が変わった」とは読まないほうがよいところです。
大問 1 は 2 年とも計算 10 問で、並び順まで揃っている
精読した 2 年とも、大問 1 は導入文「次の計算をしなさい。」で始まる計算 10 問です。同じ問題ではありませんが、同じ種類の計算が同じ番号に来ています。両年の (1)〜(10) を並べると次のようになります。
| 番号 | 2018 | 2019 | 共通して問われている力 |
|---|---|---|---|
| (1) | 2+2×7−4×3 | 12+168÷14−9×2 | 整数の四則混合・計算の順序 |
| (2) | 19+221÷17−15 | 6×45−15×3−25×2−35×5 | 桁のある整数計算(2019 は共通因数でまとめると速い) |
| (3) | 21.1−1.12 | 17.1−2.46 | 小数のひき算(位取り) |
| (4) | 302×145 | 0.75×4.56 | かけ算(2018 は整数、2019 は小数) |
| (5) | 28.8÷0.09 | 3.32÷0.4 | 小数のわり算 |
| (6) | 1/3+3/4−5/6 | 3/10−1/22−3/55 | 分数の加減(通分) |
| (7) | 1・2/5×9/4−3/10×5・1/2 | 6/5×9・1/3−1・1/7÷4/3 | 帯分数のかけ算・わり算の混合 |
| (8) | 7/3+6・3/4÷7・7/8 | 12÷7+1/4÷7/8 | 分数のわり算を含む混合 |
| (9) | 0.6+(19/5+2.5)×2/9 | 0.001×11100+(9012−2019)÷(777/10) | 小数と分数が混ざったかっこ入り |
| (10) | {76−5×(4+3)}×8−29+1 | {305−9×(8+16)}×7−405 | 中かっこ入りの四則混合 |
(3) と (5) と (10) は形がほぼ同じで、数字だけが差し替わっています。とくに (10) は「{ 整数−整数×( 整数+整数 ) }×整数−整数」という骨組みが 2 年とも同じです。2019 年の (9) は 9012−2019 と、その年の年号を数の中に入れています(2018 年の該当問題にはこの仕掛けがありません)。
大問 2 は一行問題の詰め合わせで、(1) の位置が固定されている
大問 2 は導入文が 2018 年「次の□に当てはまる答えを求めなさい。」/2019 年「次の[ ]に当てはまる答えを求めなさい。」で、囲みの表記が違うだけでほぼ同文です。そして (1) は 2 年とも「小数 1 つと分数 2 つを大きい順に並べる」問題です(2018: 2.34・7/3・26/11/2019: 1.82・11/6・35/19)。同じ場所に同じ種類の問題が来る例として、この資料で最もはっきりしているのがここです。
年齢算も 2 年とも入っています(2018 は大問 2(8)「私と姉の年の差は 3 才…父・母の年令」、2019 は大問 2(7)「妹は私の 5 歳下…父は 43 歳、母は…」)。和差算・分配算、速さも 2 年とも登場します。ただし 2 年分では「毎年」とまでは言えないので、「精読した 2 年ではどちらにもあった」までにとどめておきたいところです。
解答の形式
精読した 2 年とも、全 21〜22 問が短答です。記号選択も、文章で説明させる問題も 1 問もありません。答えを □ に入れる形か「〜を求めなさい」で、途中式を書かせる欄も原本には見当たりません。部分点を狙う書き方より、答えを合わせにいく練習のほうが噛み合います。
図の出方
図がついた小問は 2018 年が 21 問中 3 問(14%)、2019 年が 22 問中 6 問(27%)。使われ方は次の 3 通りで、受験生が図を描き足す(作図する)問題は精読した 2 年に 1 問もありません。
- 表を読ませる(2018: サッカー 5 チームのシュート数の表/2019: 中学生 7 人の年間読書数の表)— 空欄が混ざった表から逆算させる作り
- 方眼の上の図形(2018 大問 2(10):方眼に太線で描かれた図形の面積。直線と 3/4 円弧の組み合わせ)
- 図形そのもの(2019 大問 3 の直角二等辺三角形、大問 4 の半円柱をつないだ立体、2018 大問 2(11) の相似な直角三角形の階段状の並び)
円周率は 2 年とも 3.14 と明記されています(2018 大問 2(10)・(11)②/2019 大問 4 の導入文)。
単元の重み
精読した 2 年を合わせると、計算がおよそ 5 割弱、残りを割合・文章題、平面図形、数の性質・規則性、速さが分け合います。立体は 2019 年の大問 4 と 2018 年の回転体で 2 年ともに顔を出します。分野を薄く広く配る作りで、特定の単元に大きく寄せてはいません。
家でやることは 7 節にまとめました。
8-2. 理科(2018 年度の 1 年分のみ)
まず前置きです。学校の公表資料に記録された 2027 年度の募集要項では、第 1 回〜第 3 回のいずれも科目は国語・算数の 2 科(+面接)で、理科は実施科目に入っていません。ここに書くのは 2018 年度の 1 冊だけを精読した記録であり、現在の入試の準備そのものではありません。理科の勉強法として読むより「この学校が理科でどんな問いを立てる学校か」の資料として読んでください。1 年分なので反復や周期は一切言えません。
2018 年度の中身(大問 4・小問 25)
| 大問 | 小問数 | 題材 | 答え方 |
|---|---|---|---|
| 1 | 4 | 砂糖水の濃さとアリ(A〜C の砂糖・水の量から濃度、65% の作り方、混ぜたときの濃度、アリが集まるのはどれか) | 短答 3・記号選択 1 |
| 2 | 5 | 状態変化(冷たいグラスの水滴/水そうの水が減る/ドライアイスが消える/白い煙の正体/へこんだピンポン玉が戻る) | 文で説明 4・短答 1 |
| 3 | 15 | 15 種の生き物(ウシガエル・アカミミガメ・マグロ・ライチョウ・アライグマ・マングース・イノシシ・クマムシ・トキ・ニホンカワウソ 等)を、説明文 1 つにつき 1 つ選ぶ | 記号選択 15 |
| 4 | 1 | カエデの種子の形の特徴と、その形である理由 | 文で説明 1 |
答え方の内訳は 25 問中、記号選択 16 問(64%)・文で説明 5 問(20%)・短答 4 問(16%)。選ぶ問題が過半を占めますが、説明させる問題も 5 問あるという構成です。
目についた作り
- 大問 2 の導入文が答え方の見本を示しています。「次の現象について答えなさい(物質名と状態を忘れずに書くこと)」とあり、続けて例として「寒い日の朝、外に出ると吐く息が白く見えるのはなぜですか。⇒ 吐く息の中にふくまれる水蒸気が…」という模範解答の書き出しまで載っています。何をどう書けば得点になるかを問題用紙の側が指定している作りで、逆に言えばその指定どおりに「物質名+状態」を入れて書かないと通りません。
- 大問 3 は 15 問すべてが同じ 15 個の選択肢リストから 1 つずつ選ぶ形です。しかも選択肢が「あ〜そ」の 15 個で小問も 15 問なので、実質は総当たりの対応づけになります。手がかりは生き物の名前ではなく、外来種・絶滅・完全養殖・獣害・バラスト水といった人と生き物の関係の説明文のほうにあります。図鑑的な分類の知識より、ニュースで扱われる話題としての生き物の知識で解く問題です。
- 大問 4 はカエデの種子の絵 1 枚だけを見せて「特徴」と「何のためか」を書かせます。知識で答えを引き出す問題ではなく、目の前の形から機能を考えて言葉にする問題です。
- 図がついた小問は 25 問中 18 問(72%)ですが、その大半は大問 3 の 15 個の生き物リストが各小問に紐づいているためで、図を読み取って計算するタイプの図依存ではありません。実質的に図を読む必要があるのは大問 1 のビーカーの図と大問 4 の種子の絵です。
- 精読した 1 年に、受験生が図を描く問題も、字数を指定した記述もありません。
理科で今からやるなら(2018 年の内容に即して・併願先で理科を使う場合)
- 濃度(食塩水・砂糖水)を、混ぜる・薄めるまで含めて計算できるようにします。
- 状態変化を「物質名+状態」の形で 1〜2 文にして書く練習をします。蒸発・凝結・昇華の 3 つは口頭で言えるまで。
- 外来種・絶滅危惧種・獣害を、生き物の名前と結びつけて覚えます。ニュースの話題として押さえるほうが近いやり方です。
- 種子の散布のしかた(風・動物・水・はじける)を、形と理由のセットで説明できるようにします。
8-3. 社会(2018 年度の 1 年分のみ)
理科と同じ前置きが付きます。2027 年度の募集要項では社会は実施科目に入っていません。ここに書くのは 2018 年度の 1 冊だけの記録で、反復も周期も言えません。
2018 年度の中身(大問 5・小問 15)
| 大問 | 小問数 | 導入文の見出し | 題材 |
|---|---|---|---|
| 1 | 3 | 「歴史に関する問題」 | 応仁の乱・参勤交代・守護の設置・太閤検地の年代並べかえ/それぞれに関係の深い人物を 6 人から選ぶ/刀狩令の条文を読んで人物を選ぶ |
| 2 | 3 | 「文化財に関する問題」 | 国宝・世界遺産の文化財が何時代のものかを 5 つの時代名から選ぶ(3 問とも同じ問い方) |
| 3 | 4 | 「公民的分野に関する問題(地球環境)」 | 「〇〇協定」の名前/前年に脱退した国/その国が挙げた理由/1997 年に日本の都市で採択された「〇〇議定書」 |
| 4 | 1 | 「地理に関する問題(日本の公害問題)」 | 白地図に示された四大公害病の各地の病名 |
| 5 | 4 | 「時事問題(歴史・公民的分野)」 | ICAN が目指すもの/ノーベル平和賞の授賞式が行われた国/サーロー節子さんが語った子どもの頃の体験/演説の「共犯者」という言葉が批判した世界の状況 |
答え方の内訳は 15 問中、記号選択 9 問(60%)・短答 3 問(20%)・文で説明 3 問(20%)。
目についた作り
- 大問の導入文が「歴史/文化財/公民(地球環境)/地理(公害)/時事問題」と分野名で番号を振ってあります。分野をひととおり並べる作りで、1 年分しか精読できていませんが、この年に関してはどこが何分野かが一目で分かる構成でした。
- 前年(2017 年)の出来事がそのまま問題になっています。 パリ協定からの脱退表明、ICAN のノーベル平和賞受賞、サーロー節子さんの受賞演説。しかも大問 3 問題(3) は「新聞・テレビニュースなどで報道された内容をいくつか答えなさい」、大問 5 問題(4) は「新聞・テレビニュースで報道された内容について、あなたが具体的に知っている事を答えなさい」と、参考書ではなく報道で知ったことを書かせる指定になっています。1 年分なのでこれが毎年かは言えませんが、この年に限れば、テキストの暗記だけでは書けない問題が置かれていました。
- 文で説明させる 3 問はいずれも字数指定がありません。解答欄の広さに合わせて書く形です。
- 図・資料がついた小問は 15 問中 2 問(13%)。四大公害病の白地図と、大問 1(3) の刀狩令の条文枠です。地形図の読図や統計グラフの読み取りは、精読した 1 年にはありませんでした。
社会で今からやるなら(2018 年の内容に即して・併願先で社会を使う場合)
- 歴史の出来事を年代順に並べる練習と、出来事と人物の対応づけ。
- 国宝・世界遺産を時代とセットで押さえます(写真や名前から時代を答えられるところまで)。
- 地球環境の国際的な取り決め(京都議定書・パリ協定)を、年・都市・その後の動きまで。
- 四大公害病の名前と場所と原因物質。
- その年のニュースを、家庭で「何が起きて、誰がどう言ったか」まで言葉にしておきます。この年の出題はここに直接効いていました。
8-4. 国語
国語は 1 年分も資料にありません。(著作権処理の関係で、本文を掲載できず過去問データベースに載らない年が多いためです。)出典(著者・作品)の記録も同様に無いため、この学校の国語については何も書けません。現行の入試では国語は必ず実施される科目なので、形式・分量・記述の有無は市販の過去問集で確認してください。
9. しばらく出ていない単元(復活の警戒)
この節は本来、「何年も出ていない単元が周期の上限に来ている」ことを指摘する枠ですが、この学校では 2 年分(算数)・1 年分(理科・社会)しか精読できていないため、周期の話は成立しません。 空欄にしておきます。
代わりに、精読した 2 年の算数で片方の年にしか出ていない単元を挙げておきます。最終確認年度は、その単元を原本で最後に確認できた年度です。次に出ても不思議はない、という以上のことは言えません。
| 出ていた年 | 最終確認年度 | 単元 |
|---|---|---|
| 2018 年だけ | 2018 年度 | 約数/単位あたりの量/時間(睡眠時間)の計算/縮尺(1:25000 の地図)/食塩水の濃度/方眼上の面積/回転体 |
| 2019 年だけ | 2019 年度 | わり算の余り/集合(ベン図)/売買損益(消費税 8%・32% 引き・切り捨て)/平均算/カードで 2 けたの数を作る/立体の表面積 |
10. 形式面の注意
| 項目 | 算数(2018・2019) | 理科(2018) | 社会(2018) |
|---|---|---|---|
| 記号選択 | 0 問 | 16 問(64%) | 9 問(60%) |
| 短答 | 21・22 問(100%) | 4 問(16%) | 3 問(20%) |
| 文で説明 | 0 問 | 5 問(20%) | 3 問(20%) |
| 字数指定 | なし | なし | なし |
| 受験生が図を描く問題 | 精読した 2 年に 0 問 | 0 問 | 0 問 |
| 図・資料つきの小問 | 3 問(14%)→ 6 問(27%) | 18 問(72%・大半は選択肢リスト) | 2 問(13%) |
| 円周率 | 2 年とも 3.14 と明記 | — | — |
- 算数は答えだけを書く形です。 □ に入れる形か「〜を求めなさい」で、途中式の欄は原本に見当たりません。単位(cm²・cm³・m・円・冊)は問題文の側にあらかじめ印字されている問題が多くあります。
- 理科の説明問題は書き方が指定されています。大問 2 の導入文が「物質名と状態を忘れずに書くこと」と条件を出し、さらに模範解答の例文まで載せています。指定どおりの要素を入れて書いてください。
- 社会の説明問題に字数の指定はありませんが、大問 3(3)・大問 5(4) は「新聞・テレビニュースなどで報道された内容」を書けという指定になっています。
- 現行の入試(2027 年度の募集要項)の回・日程・試験時間・面接は 1 節にまとめました。精読した資料(2018〜2019)の時代とは科目構成が違うので、時間の感覚は過去問の分量からそのまま持ち込まないほうがよいところです。
11. 学年別ロードマップ(小 4 スタートを前提に)
小 4(土台)
計算の正確さ・図形の入口・読解・短い記述・漢字語彙の 5 本を、どの学校を目指す場合とも同じように進めます。この学校に向けて特別にやることは、この段階ではほとんどありません。あえて 1 つ挙げるなら、整数・小数・分数のあいだを行き来する感覚(1/4 と 0.25、2.34 と 7/3 のどちらが大きいか)を、計算のたびに口に出しておくことです。算数の大問 2 の 1 問目の位置に 2 年とも出たのが、まさにこれでした。時間を計るのはまだ先で構いません。
小 5(幅)
全分野をひととおり学び終える段です。週の器は「平日 15 分×5 + 週末 60 分」を基本形にします。平日 15 分は計算(整数・小数・分数の四則とかっこ 2 重)と単位換算(m と cm、L と mL)を毎日、週末 60 分はその週の単元 1 つ、という割り付けです。
単元は 7 節の 4 番に並べた順で置いてください。約数 → 単位あたりの量 → 時間の計算 → 縮尺 → 和差算・分配算(合計と差から 2 つの数を求める・受験用教材の単元)→ 食塩水の濃度 → 集合 → 売買損益 → 平均算 → 速さ → 年齢算(受験用教材の単元)。これを「小 5 で一巡する単元リスト」として使います。この学校の一行問題は、どれか 1 単元に深く潜るのではなく 12 問前後で全分野をひととおりなでる作りなので、深さより穴の無さが効きます。ただし 2020 年度以降は資料がありません(→ 13 節)ので、この一巡が直近の入試にもそのまま当てはまるかは、市販の過去問集で確かめてください。
図形は、平面(面積・面積比・相似)と立体(体積・表面積・回転体)の両方を小 5 のうちに一度通します。2019 年は大問 3・大問 4 が丸ごと図形でした。
社会・理科を併願校で使うなら、この段でニュースを家庭の話題にする習慣をつけておくと後で効きます(8-3 節の 2018 年の出題が、それを直接問うていました)。
小 6(仕上げ)
7 節の 8 項目をそのまま実行する段です。この学校については、「年度通しで時間を計る」より「同じ座席の問題を縦に並べる」ほうが、資料の性格に合っています。具体的には、手元の過去問集で各年の大問 1 の (1) だけを縦に、(2) だけを縦に……と並べて解きます。ただし手元にあるのは 2 年分なので、3 年目以降も同じ並びかは市販の過去問集で自分で確かめる、という前提つきです。
この学校は小 4 から始めるとどこで差がつくか
差がつくのは、小 5 で全分野をひととおり学び終えておくことと、小 6 で計算 10 問を落とさないことの 2 点です。算数は 21〜22 問すべてが短答で、そのうち 10 問が計算。ここを取り切れるかどうかが、他のどの単元より配分として大きく効きます。逆に、難しい 1 題を粘って解く訓練の見返りは、精読した 2 年の作りから見るかぎり大きくありません。小 4 から時間があるなら、計算の速さではなく計算の正確さを、崩れない習慣として先に作っておくのが噛み合います。
12. この学校と併願するなら
観点は勉強が転用できるかだけです。同じ形式・同じ頻出単元・同じ問い方なら、過去問演習が二重に効きます。男女別学・入試日程の重なり・通学圏・難易度は、この観点では扱いません。
この学校は併願候補を出せません。 併願候補は科目ごとの出題のつくりの近さから自動集計していますが、この集計は 2 科目以上の過去問資料がある学校どうしでしか成立しません。この学校は現行入試の 2 科(国語・算数)のうち国語の資料が 0 冊、算数も 2 年分しかないため、比較の土俵に乗らないからです。
8 校の一覧・記述量・注意は 併願候補ページ へ(このページにも、候補を出せない旨が同じ理由で書いてあります)。
代わりに、勉強の転用という観点だけで言えることを 3 つ書いておきます。
- 算数の準備は、計算問題を大問 1 に 10 問置く学校となら広く共有できます。計算 10 問を毎日回す習慣は、この学校以外にも時間をかける価値があります。
- 答えだけを書く形に慣れると、途中式や説明を書かせる学校とは練習の質が変わります。併願先に説明を書かせる学校が入る場合は、そちらの練習を別枠で確保しておく必要があります。
- 理科・社会は現行入試にありません。併願先で 4 科を使うなら、理科・社会の準備はこの学校ではなく併願先の出題に合わせて組みます。
この学校は国語・算数の 2 科の入試です。併願先が 4 科目校の場合、理社は本校の準備とは別に立てる必要があります。
13. 資料の限界(必ず読んでください)
このレポートの土台は 4 冊しかありません。他校のレポートと同じ密度では読めないので、限界をはっきり書いておきます。
- 年度が 2018〜2019 で止まっています。 直近の入試は 1 年分も精読できていません。ここに書いた並びの共通点が今も続いているかは、このレポートでは分かりません。市販の過去問集で直近数年を必ず自分の目で確認してください。
- 国語が 1 冊もありません。現行入試の 2 科の片方であるにもかかわらず、形式も分量も出典も何ひとつ書けていません。著作権処理の関係で本文が過去問データベースに載らない年が多いためです。
- 入試回が確定できません。回の表記が残っていたのは 2018 年度の理科だけ(「第 1 回入学試験」)。算数 2 冊・社会 1 冊には記載が無く、4 冊が同じ回かどうかも確かめられません。異なる回の冊子が混ざっていれば、年ごとの違いに見えているものが実は回の違いということもありえます。
- 算数の「大問数が 2→4 に増えた」は形式の変化とは限りません。8-1 節に書いたとおり、2018 年の大問 2(11) は独立した図形問題 1 題分の重さを持つ 2 段構えで、2019 年はそれを大問 3・4 として外に出した並べ替えに近いものです。大問の数え方は資料の側の区切り方に左右されます。
- 同じ位置に同じ種類、は 2 年分での確認です。大問 1 の計算 10 問の並びも、大問 2(1) の大小比較も、確認できたのは 2018 年と 2019 年の 2 年だけです。「毎年」と書いていないのはそのためで、3 年以上の反復として確かめたものではありません。
- 同じ問題が使い回されている例は 1 つも確認できていません。大問 1 の (3)(5)(10) などは骨組みが同じですが、数字はすべて違います。「同じ作りの問題」であって「同じ問題」ではありません。
- 理科・社会は現行の実施科目ではありません。学校の公表資料に記録された 2027 年度の募集要項では 3 回とも国語・算数の 2 科(+面接)です。2018 年度に理科・社会の冊子が存在することとの食い違いは、8 年のあいだに科目構成が変わったためと考えるのが自然ですが、このレポートの資料だけでは確認できません。
- 転写の読み落としの可能性があります。4 冊とも転写の確度は高く、判読できなかった箇所の記録もありませんが、図の細部(寸法・記号の位置)や選択肢の細かい文言までが完全に写っているとは限りません。実際、2019 年の大問 3(1) は「辺 FG の長さ心を求めなさい」と読める箇所があり、原本の「を」が「心」と写った可能性があります。数値や図が判断を左右する場面では、必ず原本にあたってください。
- 併願候補が出せません。比較に必要な科目数の資料が揃っていないためです(12 節)。
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