聖ヨゼフ学園中学校 の過去問分析
聖ヨゼフ学園中学校の過去問を年度ごとに数えて、何が固定で何が毎年変わるか・よく出る単元・過去問の使い方をまとめたページです。
聖ヨゼフ学園中学校 過去問分析(2010〜2025 年度・第 1 回相当・10 年分)
更新 2026-08-20。
1. この学校の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県横浜市鶴見区 |
| 男女 | 共学(2020 年に中学校、2023 年に高等学校が共学化。それ以前は女子校) |
入試回・日程・科目・配点(2026 年度)
| 回 | 日程 | 科目 | 試験時間 | 配点 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 帰国生第 1 回 | 12 月 1 日午前 | 算数 1 科 | 算数 45 分 | 算数 100 | 帰国生第 1 回・第 2 回で合計 5 名募集。保護者同伴面接あり(通常面接または自己アピール面接)。英検加点制度あり |
| 帰国生第 2 回 | 1 月 6 日午後 | 算数 1 科 | 算数 45 分 | 算数 100 | 帰国生第 1 回と合計 5 名。保護者同伴面接あり |
| 第 1 回 | 2 月 1 日午前 | 2 科(国語・算数)または 4 科(国語・算数・社会・理科) | 国語 45 分・算数 45 分・社会理科 45 分 | 国語 100・算数 100・社会理科 100(社会 50・理科 50) | 社会・理科は合わせて 45 分・各 50 点です。保護者同伴面接あり(1 月 17 日・1 月 24 日・筆記試験終了後のいずれか 1 日を選べる、筆記試験とは別枠) |
| 第 2 回 | 2 月 2 日午前 | 2 科(国語・算数) | 国語 45 分・算数 45 分 | 国語 100・算数 100 | 保護者同伴面接あり |
| 第 3 回 | 2 月 3 日午前 | 2 科(国語・算数) | 国語 45 分・算数 45 分 | 国語 100・算数 100 | 若干名の帰国生を含む。保護者同伴面接あり |
上の表は 2026 年度の募集要項による内容です。全ての回に保護者同伴面接があります(第 1 回は 1 月 17 日・1 月 24 日・筆記試験終了後のいずれか 1 日を選ぶ形で、筆記試験とは別の日程枠です)。帰国生は第 1 回・第 2 回を合わせて 5 名の募集で、英検の級に応じた加点制度があります(級ごとの点数は募集要項でご確認ください)。理科・社会を使うのは第 1 回の 4 科選択だけで、第 2 回・第 3 回は 2 科、帰国生は算数 1 科です。
いまの小 6 は 2027 年 2 月、小 5 は 2028 年、小 4 は 2029 年の入試を受けます。
2. このページでわかること
このページは、どんな問題が出るか・家で何をやるかだけを扱います。難易度・偏差値・合格可能性・入試結果は扱いません(偏差値 / 募集要項・入試結果)。
過去問そのものの回し方は 過去問の使い方、受験用語は 用語集 にまとめてあります。
以下、大問(問題の大きなかたまり)・小問(その中の一問)という言い方をします。
3. まず結論だけ(10 行)
結論
- 聖ヨゼフ学園の入試は「同じ問題が出る」学校ではなく、「同じ問い方が毎年出る」学校です。精読した 3 年(2023〜2025)で同じ設問文の再登場は見つからず、題材も毎年新しく作られています。
- その代わり、4 科目すべてに「資料を読んで、自分の言葉で書く」設問が毎年あります。座席(同じ場所に同じ種類の問題が来ること)が固定されているのは算数の大問 1・2 だけで、社会は 3 年連続で 2 大問、理科・国語は毎年作り直されます。
- 第 1 回は理科と社会を合わせて 45 分で、社会だけで 25〜30 小問・6800 字前後を読みます。この学校でいちばん最初に対策すべきは知識ではなく読む速さです。
家でやること 3 つ
- 算数・大問 1 の 7 枠(計算 7 問・商と余りの割り算・逆算・単位換算・筆算の覆面算)を枠ごとに縦に解きます。
- 社会の「空欄に入る文を書く」練習をします。3 年連続で複数問あり、最も配点が集まる形です。
- 理科と社会の防災(阪神淡路・東日本・能登半島など)をまとめて 1 冊分仕上げます。
今週やる 1 つ
- 算数の速さの 2 題(2023 大問 4・2025 大問 3)を並べて解き、解く手順が共通していることを確認します。
注意
- 国語の資料は 2015 年度までしかなく(著作権処理の関係で掲載されない年が多い)、直近の形式は市販の過去問集で確認してください(→13 節)。
4. 資料の状況
どの年をどこまで見たかを、3 つに分けて書きます。精読した年(設問文まで読んだ年)/構成だけ数えた年(大問ごとの主要単元を数えただけの年)/資料のある年(転写が存在する年)。転写=過去問の紙面を文字データに起こしたもの、です。
| 科目 | 精読した年 | 構成だけ数えた年 | 資料のある年 | 判読の確度 |
|---|---|---|---|---|
| 算数 | 3 年(2023・2024・2025) | 7 年(2010・2011・2015・2018〜2020・2022) | 10 年(2010・2011・2015・2018〜2020・2022〜2025) | 高。式や図の細部に転写の揺れがありますが、大問構成と題材の読み取りに支障はありません |
| 理科 | 3 年(2023・2024・2025) | 7 年(2010・2011・2015・2018〜2020・2022) | 10 年(2010・2011・2015・2018〜2020・2022〜2025) | 高 |
| 社会 | 3 年(2023・2024・2025) | 7 年(2010・2011・2015・2018〜2020・2022) | 10 年(2010・2011・2015・2018〜2020・2022〜2025) | 高。2024・2025 は転写の確度が高い |
| 国語 | 3 年(2010・2011・2015) | 0 年 | 3 年(2010・2011・2015) | 高。ただし 2016 年度以降の資料が無く(著作権処理の関係で掲載されない年が多い)、精読した年と資料のある年が同じ 3 年です |
- 収録冊子の校名は全校・全冊で照合済みです(別校の冊子が混じっていた場合はこの節に明記しています)。
- 入試回: 過去問データベースには 1 校 1 年 1 科目につき 1 冊しか収録されておらず、冊子の表紙に回名の記載が無い年がほとんどです。理科・社会が出題されるのは 4 科の第 1 回だけなので、理科・社会の冊子は第 1 回相当と考えてよいところです。国語の 2010・2015 年度の表紙には「A 方式 1 次」とあり、現在の第 1 回〜第 3 回とは呼び方が違います。算数・国語がどの回のものかは断定できません。
- 2012〜2014・2016・2017・2021 は全科目とも資料が無く、2026 年度も 4 科目とも資料にありません。
- 試験時間・配点は 1 節を参照してください。
- 共学化は 2020 年(中学)・2023 年(高校)で、資料の半分は女子校だった時期のものです。とくに国語(2015 年度まで)は共学化前の問題である点も踏まえて読んでください。
5. 一番大きな結論
この学校は「同じ問題が出る」学校ではなく、「同じ問い方が毎年出る」学校です。
精読した 3 年(2023〜2025)で、まったく同じ設問文が年をまたいで再び出た例は 1 つも見つかりませんでした。題材も毎年新しく作られています。その代わりに、問い方は驚くほど揃っています。
- 4 科目すべてに「資料を読んで、自分の言葉で書く」設問が毎年あります。社会の「< B > にはどのような文があてはまるとあなたは考えますか」(2023・2025)、理科の「窓を『開ける』か『閉める』か明記して自分の意見を述べなさい」(2024)、算数の「この【問題】は答えが出せません。その理由を説明しなさい」(2025)、国語の「あなたの未来について感じたことを具体的に書きなさい」(2010)。科目をまたいで同じ設計思想が通っています。
- 座席(同じ場所に同じ種類の問題が来ること)が固定されているのは算数の大問 1 と大問 2 だけです。大問 1 は 3 年連続で計算 7 問、大問 2 は 3 年連続で小問集合 5 問。この 12 問は場所も中身の並びもほぼ動きません。
- 社会は 3 年連続で 2 大問です。しかも 2 題とも「1 つの題材で地理・歴史・公民を貫く」同じ作りで、分野で大問が分かれていません。
- 理科と国語は毎年作り直されます。理科は分野の並びが 3 年とも違い、国語は大問構成そのものが年ごとに変わります。
したがって過去問の使い方は、「単元ごとの解き方を身につける」+「時間の使い方を身につける」の両方に近くなります。「出る問題を覚える」で得点できるのは算数の大問 1・2 に限られます。
もう一つの大きな結論は時間です。第 1 回は理科と社会を合わせて 45 分で、社会だけで 25〜30 小問・設問文 6800 字前後を読みます。この学校でいちばん最初に対策すべきは知識ではなく読む速さだと、資料からは見えます。
6. この学校らしさが出る場所
- 「あなたはどう考えるか」が 4 科目を貫きます。 社会「あなたが最も重要だと考えることは何ですか」(2024 大問 2 問 11)、理科「窓を『開ける』か『閉める』か明記して自分の意見を述べなさい」(2024 大問 3 (4))、算数「この【問題】は答えが出せません。その理由を説明しなさい」(2025 大問 6 (1))、国語「あなたの未来について感じたことや考えたことを具体的に書きなさい」(2010 大問 1 問八)。正解を選ぶ力と同じくらい、考えを述べる力を測ろうとしているように見えます。
- 防災と災害が科目をまたぎます。 理科は富士山ハザードマップの改訂(2023)、2024 年 1 月の地震の分布図(2025)、災害時の行動(2025)。社会は阪神淡路大震災と DMAT(2025 大問 1)、関東大震災と橋の耐震(2025 大問 2)、能登半島地震の避難所(2025)、森林と治水(2024)、砂浜の減少(2023)。この学校でいちばん濃い題材です。
- 神奈川・横浜が題材になります。湯河原町を丸ごと 1 大問(2024 大問 2: 温泉・みかん・万葉公園の再整備・町おこし)、開港後の横浜の生活環境(2025)、横浜市の地震災害時の情報伝達(2025)、横浜市の課題から解決策を選ばせる(2024)。学校のある横浜市とその周辺が繰り返し出てきます。
- 共生・多様性の題材が出ます。アイヌの歴史と「アイヌと和人がともに生きていく世の中とはどのような世の中でしょうか」(2023 大問 2)、避難所での配慮とダンボール住宅(2025)、災害時の交通規制と自由の制限(2025)。社会的な少数者・弱い立場の人をどう扱うかを、記述で問う設問が繰り返し出ています。
- 手を動かす作業が得点になります。折り紙を実際に折って「船」を作り、試験終了後も机の上に置いておく(2023 算数 大問 3)。ドットプロットを完成させる(2024)。点対称な図形をかき入れる(2025)。集気びんの中の空気の流れを矢印で書き入れる(2024 理科)。
- 生活の中の科学と算数が題材になります。手指消毒液の濃度(2023 理科)、寒天とところてん・食品の乾燥(2025 理科)、火事のときにかがんで逃げる理由(2024 理科)、駐車場の料金体系の比較(2025 算数 大問 7)、ドーナツを何個買えるか(2025 算数 大問 6)。身のまわりの場面に数と理科を持ち込む作りが 3 年とも共通しています。
- 算数でも「問題そのものを検討させる」設問が出ます。「この【問題】に答えるためには、何がわかればいいでしょうか。2 つ答えなさい」(2024 大問 6)、「答えが 15 個になるように、はじめに持っていたお金を何円にすればよいか」(2025 大問 6)。答えを出すだけでなく、問題の条件を吟味させる設問が 2 年連続です。
- 国語は「働くこと・生きること」の随筆が中心です(精読した 3 年)。無農薬りんごに人生を賭けた農家、ことばを持つ旋盤工、病気と向き合った子ども時代。詩が 2 年連続で大問一に来ていた点も、中学入試では多くありません。
7. 今からやるなら(4 科目統合の優先順)
想定している学年: 受験学年(小 6)の、過去問演習に入っている段階を前提にしています。小 5 以前の方は 11 節の学年別ロードマップを先に読んでください。
各項目の末尾(確認: 〜◯年度)は、その内容を原本で確認できている最後の年度です。根拠になった年度・大問は 8 節(科目別の詳細)を参照してください。
- [毎日 10 分] 算数・大問 1 の 7 枠を枠ごとに縦に解く — 四則計算 4 問/「商は小数第 1 位まで求め、余りも答えなさい」の割り算(3 年連続)/逆算/単位換算(mm・cm・m・km と小数の混ざった換算、3 年連続)/筆算の覆面算。この 7 問はほぼ確実に同じ場所に来るので、最初に確実にしておきます。(確認: 〜2025 年度)
- [週末 60 分] 社会・「空欄に入る文」を書く練習 — 「阪神淡路大震災における被害を ______ ため。」のような空欄に、資料から読み取った内容を 30〜50 字の 1 文で埋めます。3 年連続で複数問あり、この学校で最も配点が集まる形です。(確認: 〜2025 年度)
- [週末 60 分] 理科と社会の防災をまとめて 1 冊 — 阪神淡路・東日本・能登半島、避難所、ハザードマップ、DMAT、災害対策基本法。理科(2023 火山ハザードマップ・2025 地震分布)と社会(2025 は大問 2 が丸ごと災害と政府)の両方に効きます。(確認: 〜2025 年度)
- [週末 60 分] 算数・速さの 2 題を並べて解く — 2023 大問 4(780 m・分速 52 m・1.5 倍・すれ違い)と 2025 大問 3(分速 50 m・2 倍・追いつき)は設定も設問の並びもほぼ同じ作りです。片方を解ければもう片方は手が止まりません。(確認: 〜2025 年度)
- [週 1 回] 算数・説明を書く練習 — 「なぜそちらが得か」「なぜこの問題は答えが出せないか」を 2〜3 文で書きます。計算そのものは易しく、書けるかどうかで差がつく枠が毎年 1 つあります。(確認: 〜2025 年度)
- [週 1 回] 理科・対照実験の読み方 — 「この条件だけ違う 2 つを比べる」を、ふりこ(2025)・光合成(2024)・燃焼(2024)の 3 題材で練習します。(確認: 〜2025 年度)
- [週 1 回] 時間配分の通し練習 — 理科+社会 45 分は、社会の読む量に対してかなり厳しい形です。先に設問を見てから本文の該当箇所を探す読み方を身につけます。(確認: 〜2025 年度)
- [週 1 回] 国語・40〜60 字の記述 — 理由・内容説明・心情の 3 種を、字数指定内に収める訓練とセットで書き分けます。ただし国語の資料は 2015 年度までなので、直近の形式は市販の過去問集で確認してください。(確認: 〜2015 年度)
8. 科目別の詳細
8-0. 科目横断の要点
| 科目 | 形式の固定度 | 中身の性格 | 最優先で時間をかける価値があること |
|---|---|---|---|
| 算数 | 大問 5〜7(2023 は 5、2024 は 6、2025 は 7 と増加)・小問 21〜28。大問 1(計算 7 問)と大問 2(小問集合 5 問)は 3 年連続で固定。短答(語句や数値を短く答える形式)が主軸(76〜93%)、記述 1 問・作図 1 問が毎年 | 大問 3 以降は毎年作り直し。速さ・売買損益・資料の読み取りが 3 年連続。「問題そのものを検討させる」大問が 2 年連続 | 大問 1 の 7 枠を年度をまたいで縦に解く。速さの 2 題(2023 大問 4・2025 大問 3)を並べる |
| 理科 | 大問 3〜4・小問 20〜25。分野の並びは毎年違う。記号選択が主軸(52〜67%)、記述 1〜2 問、作図は 3 年で 1 回 | 生物・化学・物理・地学から満遍なく。対照実験(どれとどれを比べるか)が背骨。防災と身のまわりの科学が毎年 | 対照実験の読み方。気象(10 年で最頻なのに 3 年空き)。理由を 1〜2 文で書く練習 |
| 社会 | 3 年連続で 2 大問・小問 25〜30。1 つの題材で地理・歴史・公民を貫く長い読み物。記号選択が主軸(63〜76%)、記述は 2025 に急増(5 問) | 防災・環境が 3 年連続で中心。神奈川・横浜の題材が 2 年連続。前年前後の新聞記事・アンケートを生で読ませる | 「空欄に入る文を自分で考えて書く」練習。防災を 1 冊分。読む速さ |
| 国語 | 資料は 2015 年度まで。大問構成は年ごとに違う(2 大問〜4 大問)。記述 3〜5 問(16〜17%)、字数指定が多い(40〜60 字が中心) | 随筆・自伝的な文章と詩。漢字は同音異義の組で問う。最後に自分の体験・考えを書かせる | 40〜60 字の説明記述を 3 種で書き分ける。同音異義語を組で覚える |
8-1. 算数(原本で読んだ年度: 2023・2024・2025)
年度×大問の題材表(前半の大問)
| 年度 | 大問数/小問数 | 大問 1 | 大問 2 | 大問 3 | 大問 4 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 5/21 | 計算 7 問(四則・商と余り・単位の比較・筆算の覆面算) | 小問集合 5 問(点対称/順位の推理/集合/正方形と円の重なり/水量とグラフ) | 折り紙(面積と「船」を折る作図) | 速さ(駅と公園・すれ違い) |
| 2024 | 6/27 | 計算 7 問(四則・商と余り・逆算・単位換算・分数の真ん中) | 小問集合 5 問(増量の割合/消去算/日の出日の入り/縮尺/方眼上の半円の太線) | 水量とグラフ(仕切り板つき容器) | 資料の読み取り(ドットプロット作図・中央値・平均) |
| 2025 | 7/28 | 計算 7 問(四則・商と余り・逆算・単位換算・筆算の覆面算) | 小問集合 5 問(公倍数/睡眠時間のグラフ/折り返しの角度/点対称の作図/回転体) | 速さ(駅と公園・追いつき) | 和差算(3 姉妹の支払い) |
年度×大問の題材表(後半の大問)
| 年度 | 大問 5 | 大問 6 | 大問 7 |
|---|---|---|---|
| 2023 | 売買損益(2 割引と 200 円引きの比較・理由記述) | — | — |
| 2024 | 場合の数(5×5 マスをじゃんけんで進む) | 過不足算(問題文に足りない情報を補う 6 問) | — |
| 2025 | 規則性(階段の上り方・場合の数) | 売買損益(答えの出せない問題の理由記述・条件の作り直し) | 速さとグラフ(駐車料金の比較) |
座席(同じ場所に同じ種類の問題が来るか)
- 大問 1 は 3 年連続で計算 7 問の小問集合です(2023・2024・2025)。中身の並びもほぼ動きません。
- (1)〜(4) 整数・小数・分数の四則計算。3 年とも 4 問。
- 「商は小数第 1 位まで求め、余りも答えなさい」という割り算が 3 年連続で 1 問あります(2023 は 25.1÷3.7、2024 は 47÷6.2、2025 は 2.03÷7.9・2025 だけ「小数第 2 位まで」)。同じ問い方が場所ごと動かない代表例です。
- (5) 逆算(□にあてはまる数を求める計算)が 2024・2025。2023 はここが計算でした。
- (6) 単位の換算・比較が 3 年連続です(2023 は「3000 m・0.3 km・… のうち最も長いもの」、2024 は 800 mm+60 cm=□ m、2025 は 0.56 m+370 mm=□ cm)。
- (7) 筆算の穴埋め(同じ記号に同じ数が入る覆面算)が 2023・2025。2024 は分数のちょうど真ん中でした。
- 大問 2 は 3 年連続で小問集合 5 問です。ここは単元が毎年入れ替わる枠で、平面図形・割合・場合の数・資料の読み取り・立体から 5 つが選ばれます。
- 大問 3 以降は毎年作り直されます。速さの大問が 2023 は 4 番、2025 は 3 番、水量とグラフが 2024 は 3 番、2023 は大問 2 の中の 1 小問です。位置で覚えるより「この学校で出る単元一式」を持っておく作りになっています。
- 大問数が 5 → 6 → 7 と増えています(小問数は 21 → 27 → 28)。1 題あたりが軽くなり、最後の大問まで到達する速さが要る形に寄っています。
同じ作りの問題(使い回しではない)
2023 の大問 4 と 2025 の大問 3 は、設定も設問の並びもほぼ同じ作りです。
- 2023: 780 m 離れた駅と公園。ひでおさんは分速 52 m、ゆかさんはその 1.5 倍。(1) ゆかさんの分速 (2) すれ違った地点 (3) 何分遅れて出発したか (4) 残りの道のり。
- 2025: 駅から公園へ。まことさんは分速 50 m、あきらさんはその 2 倍。(1) あきらさんの分速 (2) 追いついた地点 (3) 何分後に出発したか (4) 駅と公園の距離。
設問文は同じではなく、数値も「すれ違い/追いつき」の設定も違うので、同じ問題の使い回しではありません。 ただし解く手順(速さの比 → 差の距離 → 時間差)は完全に共通で、片方を解けばもう片方は手が止まりません。2 年分を並べて解く価値が最も高い 1 題です。
頻出単元と周期(精読した 3 年 + 資料に残る 10 年の記録)
- 3 年連続: 四則計算、単位換算、速さ、売買損益(2023 大問 5・2025 大問 6・2024 は大問 2 (1) の割合として)、資料の読み取り(ドットプロット・中央値・平均・ヒストグラム。2024 大問 4・2025 大問 2 (2)・2023 大問 2 (5) の水量グラフ)。
- 2 年に 1 度前後: 規則性(2025 大問 5・2024 大問 6 の表づくり)、水量とグラフ(2023・2024)、点対称・線対称(2023 大問 2 (1)・2025 大問 2 (4))、場合の数(2023・2024・2025 いずれも 1 問以上)。
- 資料に残る 10 年(2010〜2025)を通しても、先頭の大問が計算で始まる形は変わっていません。
問い方の特徴
- 「求め方を書きなさい」「理由を説明しなさい」が毎年 1 問あります(2023 大問 5 イ「なぜかというと、」に続けて書く/2024 大問 3 (4)「どのように考えたのか求め方を書きなさい」/2025 大問 6 (1)「この【問題】は答えが出せません。その理由を説明しなさい」)。答えの数値だけでなく、筋道を日本語で書かせる枠が 3 年連続で 1 つあります。
- 問題そのものを検討させる作りが 2 年連続あります(2024 大問 6「この【問題】に答えるためには、何がわかればいいでしょうか。2 つ答えなさい」/2025 大問 6「答えが出せない理由を説明し、条件を変えて答えが 15 個になるようにする」)。表を自分で埋めて答えに近づく手順が、そのまま設問になっています。
- 会話文で進む大問が毎年あります(2023 は信さんと望さんの買い物の会話、2025 は愛さんが作った【問題】)。読む量は多くありませんが、空欄が会話の中に散っています。
- 作図は 3 年連続で 1 問です。2023 は折り紙を実際に折って「船」を作る(「【船】は、試験終了後も机の上に置いたままにしてください」)、2024 はドットプロットの完成、2025 は点対称な図形の完成。手を動かす作業がそのまま得点になる枠が固定されています。
復活の警戒・今からやるなら(算数)
単元の最終確認年度と復活の候補は 9 節(しばらく出ていない単元)にまとめました。具体的な進め方の優先順位は 7 節(今からやるなら)を参照してください。
8-2. 理科(原本で読んだ年度: 2023・2024・2025)
年度×大問の題材表
| 年度 | 大問数/小問数 | 大問 1 | 大問 2 | 大問 3 | 大問 4 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 4/25 | 火山(富士山ハザードマップの改訂・噴火の間隔・火山灰・溶岩のねばりけ) | 森林(植生の移り変わり・炭素の循環・種子の散らばり方・冬眠・森林のはたらき) | エタノール(消毒液の濃度計算・沸騰と温度変化のグラフ) | てこ(120 cm の棒とおもり・つり合いの条件) |
| 2024 | 4/20 | アサガオ(種子・花のつくり・光合成のでんぷん実験) | 天体と測量(シリウス・星の日周と年周・エラトステネスの地球の大きさ) | 燃焼(ろうそくと集気びん・空気の流れの作図・火事のときの行動) | 磁石と電磁石(方位磁針・磁石を割る・電磁石を強くする・消火栓) |
| 2025 | 3/24 | ふりこ(振れはば・おもりの重さ・糸の長さを変えた 8 通りの実験表) | 水の状態変化(三態の変化・食品の乾燥と寒天・地震の分布・災害時の行動) | 人体(胎児の育ち方・へそのお・出生時の身長体重・胎生の動物) | — |
座席(同じ場所に同じ種類の問題が来るか)
理科は毎年作り直されます。 分野の並びが 3 年とも違います。
- 2023: 地学 → 生物 → 化学 → 物理
- 2024: 生物 → 地学 → 化学 → 物理
- 2025: 物理 → 化学+地学 → 生物
2023 と 2024 は後半 2 題が化学 → 物理で一致しますが、2025 は先頭が物理になって崩れています。「大問 1 は◯◯」という覚え方はこの学校では使えません。
「2025 年に大問数が 4 から 3 に減った」という読み方は当たりません。2025 の大問 2 は、水の三態変化(化学)と、地震の分布・災害時の行動(地学)という 2 つの題材が 1 つの大問に入っている作りです。大問 3 も人体の胎児と動物の分類の 2 題材です。扱う分野の数は 3 年とも変わっていません(生物・化学・物理・地学の 4 分野から満遍なく出ます)。数えたときの大問数だけが動いています。
頻出単元と周期(精読した 3 年 + 資料に残る 10 年の記録)
- 3 年すべてに出る: 生物(森林・アサガオ・人体)、化学(濃度・燃焼・状態変化)、防災または身のまわりの科学。
- 熱と状態変化は 2023(エタノールの沸騰)・2025(水の三態)と 2 年です。資料に残る 10 年では 2018・2022 にも出ており、この学校でいちばん戻ってくる化学単元です。
- 植物のつくりとはたらきは 2023(森林・種子)・2024(アサガオの光合成)と 2 年連続です。資料では 2010・2011・2019 にも記録があります。
- 物理は「てこ(2023)→ 電磁石(2024)→ ふりこ(2025)」と毎年入れ替わり、同じ単元が続いたことがありません。
- 地学は火山(2023)・天体(2024)・地震(2025)と、これも毎年入れ替わります。
問い方の特徴
- 長い読み物から始まる大問が毎年あります。富士山のハザードマップが 17 年ぶりに改訂された話(2023)、アサガオが奈良時代に薬草として渡来した話(2024)、アルコールの語源(2023 大問 3)。理科の知識だけでなく、文章と図・地図を照らし合わせて読む作業が入ります。
- 「あなたならどうするか」を書かせます。2024 大問 3 (4) は「火事に巻き込まれたとき、窓を『開ける』か『閉める』か明記して自分の意見を述べなさい」。2023 大問 2 (5) は森林のはたらきを、指定された 1 つ以外に 2 つ述べさせます。正解の暗記ではなく、理由を添えて選ぶ形です。
- 実験の条件比較(どれとどれを比べるか)が繰り返し出ます。 2025 大問 1 は A〜H の 8 通りのふりこの結果表から「A と B を比べると」「F と G と H を比べると」と読ませ、2024 大問 1 (3) ④ は「a〜d のどの部分とどの部分の結果を比べるとよいか」を問います。対照実験の考え方が、この学校の理科の背骨です。
- 「すべて選びなさい」「3 つ選び」「順に並べ替えなさい」が毎年混じります(2024 大問 4 (5)、2023 大問 4 (2)、2025 大問 3 (5)・(9))。1 つ選ぶ設問だけの練習では足りません。
- 前年前後の出来事を素材にする小問が毎年あります(2023 は 2021 年のハザードマップ改訂、2025 は 2024 年 1 月の地震の分布図)。ただし「時事問題」として知識を問うのではなく、その年の図表をその場で読ませる形です。
復活の警戒・今からやるなら(理科)
単元の最終確認年度と復活の候補は 9 節(しばらく出ていない単元)にまとめました。具体的な進め方の優先順位は 7 節(今からやるなら)を参照してください。
8-3. 社会(原本で読んだ年度: 2023・2024・2025)
年度×大問の題材表
| 年度 | 大問数/小問数 | 大問 1(テーマ) | 大問 2(テーマ) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 2/25 | 海(渡来人・律令・日明貿易 『海国兵談』・逆さ地図・海流 砂浜の減少・海の意識調査・SDGs 14) |
アイヌ(昆布と薩摩藩・干し鮭と米の交換比率・地券・北海道旧土人保護法・ウポポイ・共生社会) |
| 2024 | 2/25 | 木と森林(森林率の国際比較・気候と樹種・縄文のクリ 平城京・鎌倉の下草刈り・村の掟 戦国大名の治水と植林・木質バイオマス) |
神奈川県湯河原町(温泉地の位置・富国強兵・大正の文人 関東大震災 100 年・みかんの気候・戦中の温泉 新三種の神器・観光客数の資料 万葉公園の再整備・土湯と城崎の町おこし) |
| 2025 | 2/30 | 近畿地方への家族旅行(近畿の府県・雨温図・法隆寺 京都の寺社が焼けた理由・大阪城・天下の台所 関西と関東の味付け・観光公害 神戸の地図を経路でたどる・阪神淡路大震災・DMAT) |
災害と政府の役割(江戸の情報伝達・開港後の横浜 関東大震災の新聞記事と橋の耐震・戦中の電力制限 インフラの老朽化・原発 30 キロ圏の首長アンケート 東日本大震災と復興庁・災害対策基本法 交通規制と人権・避難所とダンボール住宅) |
座席(同じ場所に同じ種類の問題が来るか)
- 3 年連続で 2 大問です。 しかも 2 題とも「1 つのテーマで地理・歴史・公民を貫く」という同じ作りで、分野で大問が分かれていません。「大問 1 は地理、大問 2 は歴史」という区分けはこの学校にはありません。
- 1 大問あたり 11〜18 小問と大きく、読む文章も長い形です。設問文の総量は資料に残る 10 年でも多い方です(1 冊あたり 6800 字前後)。
- 資料に残る記録では、2019 年以降の 6 冊がすべて 2 大問です(2018 年以前は 3 大問)。ただし原本で確かめたのは 2023〜2025 の 3 年で、この 3 年はいずれも 2 大問でした。
- 大問 1・2 の中の並びは、おおむね「古い時代 → 新しい時代 → 現在の課題」です。歴史の設問を前半に置き、最後の 2〜4 問を記述と資料の読み取りで締める形が 3 年とも共通しています。
頻出単元と周期(精読した 3 年 + 資料に残る 10 年の記録)
- 防災・環境が 3 年連続で中心です(2023 は海の環境と砂浜、2024 は森林と治水、2025 は阪神淡路大震災・能登半島地震・避難所・復興庁)。資料に残る 10 年でも環境問題・防災は最頻の単元で、2023・2025 の大問 1 の主軸でもあります。
- 近現代(明治以降)が毎年出ます。富国強兵(2024)、地券と地租改正(2023)、関東大震災(2024・2025 と 2 年連続)、戦中の統制(2024 温泉・2025 電力)、戦後の高度成長(2024 新三種の神器・2025 インフラ老朽化)。
- 江戸時代が毎年出ます(『海国兵談』2023、昆布と薩摩藩 2023、村の掟 2024 は室町、天下の台所 2025、江戸の情報伝達 2025)。
- 公民は憲法・国会内閣・地方自治から毎年 2〜5 問出ます。2025 は災害対策基本法・復興庁・復興財源・交通規制と人権(自由の制限)と、公民の比重がとくに大きくなっています。
- 地理は雨温図(2024・2025 と 2 年連続)、都道府県の同定(2024・2025)、地図の読図(2025 神戸市中心部を経路でたどる)が出ます。
問い方の特徴
- 空欄に入る「文」を自分で考えて書かせる形が 3 年連続で複数問あります。 「< B > にはどのような文があてはまるとあなたは考えますか。答えなさい」(2023 大問 1 問 5・大問 2 問 10)、「[阪神淡路大震災における被害を ______ ため。] の空欄にあてはまる文を考え、答えなさい」(2025 大問 1 問 8 (3))、「C にあてはまる文を答えなさい」(2025 大問 2 問 5 (2))。この学校の社会でいちばん特徴的な問い方で、記述の練習はこの形に合わせるのが効率がよいところです。
- 「あなたが最も重要だと考えることは何ですか」(2024 大問 2 問 11、横浜市の課題からア〜エを選んで理由を書く)という問い方があります。選ぶだけでなく、選んだ理由を資料に沿って説明させます。
- 前年前後の資料がそのまま素材になります。2022 年 6 月の「海と日本人に関する意識調査」(2023)、関東大震災から 100 年(2024)、2024 年の原発 30 キロ圏の首長アンケートと能登半島地震の避難所(2025)。3 年とも、新聞記事・アンケート結果・チラシといった生の資料を読ませます。
- 資料が本体で、知識は入口です。表・グラフ・写真・地図・年表・フローチャートを見て「この資料から読み取れることを述べなさい」という設問が毎年 3〜5 問あります。
- 「あてはまらないものを」「すべて選び」の形が毎年混じります(2023 大問 2 問 5、2024 大問 1 問 2・大問 2 問 2、2025 大問 1 問 8 (2))。
- 会話文で進む年があります(2025 大問 1 は父と子の旅行の相談で始まります)。
復活の警戒・今からやるなら(社会)
単元の最終確認年度と復活の候補は 9 節(しばらく出ていない単元)にまとめました。具体的な進め方の優先順位は 7 節(今からやるなら)を参照してください。
8-4. 国語(原本で読んだ年度: 2010・2011・2015)
国語は 2015 年度までの 3 冊しか資料にありません(著作権処理の関係で掲載されない年が多いためです)。ここに書いたのは 2010・2011・2015 年度に限った話で、直近の形式は市販の過去問集で確認してください。冊子の表紙には「国語〔A 方式 1 次〕」とあり、現在の第 1 回〜第 3 回という回の呼び方とは違います。共学化(中学は 2020 年)より前の、女子校だった時期の問題である点も踏まえて読んでください。
年度×大問の題材表
| 年度 | 大問数/小問数 | 大問 1 | 大問 2 | 大問 3 | 大問 4 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2010 | 2/18 | 詩(小野十三郎『校庭で』・「未来」をめぐる読み取りと作文) | 随筆(石川拓治『奇跡のリンゴ』・無農薬栽培/漢字 10 問を最終設問に) | — | — |
| 2011 | 4/23 | 詩と詩論(茨木のり子『詩のこころを読む』・工藤直子の「ちびへび」「てつがくのライオン」) | 随筆(小関智弘『町工場・スーパーなものづくり』・旋盤工のことば) | 漢字の書き取り・読み 5 問 | 慣用句(動物の名を入れる)5 問 |
| 2015 | 4/32 | 漢字の書き取り 10 問(同音異義の 5 組) | 熟語の読みの違いを選ぶ 5 問 | 二つの文に共通する言葉(漢字と送り仮名)5 問 | 随筆(黒柳徹子『小さいときから考えてきたこと』・入院と松葉づえ) |
出典は原本の本文末尾の表記で確認しました。
座席(同じ場所に同じ種類の問題が来るか)
精読した 3 年では大問の並びが毎年違います。2010 は長文 2 題だけで漢字が長文の最終設問に入っており、2011 は長文 2 題+知識 2 題、2015 は知識 3 題を先に置いて長文 1 題で締める形です。「大問◯は◯◯」という座席はこの 3 年からは読み取れません。
一方で、必ず入る要素は 3 年とも同じです。
- 漢字の書き取り・読み: 3 年すべて(2010 は 10 問、2011 は 5 問、2015 は 10 問)。
- 慣用句・語句の知識: 2011・2015(動物を入れる慣用句、二つの文に共通する言葉)。
- 長文の読解: 3 年すべて。随筆・エッセイが 3 年とも入っています。
- 自分の体験や考えを書く長い記述: 3 年すべて(後述)。
頻出の題材
- 詩が 2 年連続で大問一に来ています(2010 小野十三郎「校庭で」、2011 は工藤直子の詩 2 編を茨木のり子の詩論越しに読む)。詩・詩論は中学入試では多くない素材で、2010・2011 と続けて出ています。
- 随筆・自伝的な文章が 3 年とも入ります(りんご農家、旋盤工、入院した子ども時代)。小説ではなく、書き手が自分の体験を語る文章が選ばれています。
- 題材の共通点は「働くこと・生きること」に寄っています。無農薬りんごに人生を賭けた農家(2010)、ことばを持つ職人(2011)、病気と向き合った子ども(2015)。
問い方の特徴
- 自分の体験・考えを書かせる設問が 3 年連続で最後に置かれています。
- 2010 大問 1 問八「この詩を読んで、『あなたの未来』について感じたことや考えたことを具体的に書きなさい」
- 2011 大問 1 問七「『ちびへび』の詩を読んで、第四連の『ちびへび』と同じような心情を味わったときの体験と、そのときのあなたの気持ちを具体的に書きなさい」
- 2015 大問 4 問十二「…とはどのようなものですか。そう考える理由もあわせて書きなさい」
この「読んだうえで自分の言葉で書く」形は、理科の「あなたなら窓を開けるか閉めるか」、社会の「あなたが最も重要だと考えることは何か」と同じ性格で、4 科目を貫く問い方になっています。 - 字数指定つきの記述が多くあります。2010「三十字以内」「五十字以内」「十五字〜二十字以内」、2011「七十字以内」、2015「四十字以内」「五十字以内」「六十字以内」。40〜60 字の説明記述が中心の幅です。 - 抜き出しにも字数と答え方の指定が付きます(「二十字以内でぬき出し、最初と最後の五字を答えなさい」2010、「四十字以内で抜き出し、初めと終わりの五文字」2011)。 - 空欄に字数指示つきで入れる形もあります(2010 大問 1 問六「ア(一字)、イ(二字)、ウ(六字)…オは自分の言葉で」)。 - 漢字は同音異義の組で問われます(2015 の「シンコウ=親交/進行」「ショウカ=消火/消化」「シュウシュウ=収拾/収集」「ヨチ=余地/予知」「キカン=期間/器官」)。単に書ければよいのではなく、文脈で使い分けられるかを見ています。 - 「あてはまらないものを」「不適切なものを」を選ぶ形が混じります(2010 大問 1 問五)。
復活の警戒・今からやるなら(国語)
国語について「単元が長く出ていない」という復活警戒の対象はありません(資料が 2015 年度までしか無いため、周期そのものを見積もれません)。具体的な進め方の優先順位は 7 節(今からやるなら)を参照してください(ただし国語の資料は 2015 年度までのため、直近の形式は市販の過去問集で確認してください。→13 節)。
9. しばらく出ていない単元(復活の警戒)
精読した年 + 資料に残る 10 年の記録から、大問として長く出ていない単元をまとめました。最終確認年度は、その単元が出たことを確認できている最後の年度です。
| 科目 | 単元 | 直近の出題(分かる範囲) | 最終確認年度 | 状況 |
|---|---|---|---|---|
| 算数 | 立体の求積・切断 | 2022(切断) | 2022 | 2023〜2025 は回転体の選択だけ。体積計算そのものが 3 年空いています |
| 算数 | 円とおうぎ形の求積 | 2023 大問 2 (4) | 2023 | 2024・2025 は太線の長さのみ。面積を求める形は 3 年空いています |
| 算数 | 流水算(船の速さと川の流れを組み合わせる計算) | 2015 | 2015 | 資料に残る範囲で 10 年前後空いています |
| 算数 | 仕事算(作業量を人数と時間に分ける計算) | 2010 | 2010 | 資料に残る範囲で 10 年前後空いています |
| 算数 | 時計算(時計の長針・短針の位置を求める計算) | 資料の範囲内に本格的な出題なし(2024 大問 2 (3) は日の出日の入りの時刻計算にとどまる) | 資料の範囲内に無し | 本格的な出題は確認できていません |
| 理科 | 水溶液の性質・中和 | 2023 大問 3 (1) で消毒液の扱いに触れた程度。本格的には 2015・2011 | 2015 | 10 年近く大問として空いています |
| 理科 | こん虫 | 2022・2023 大問 2 (4) の冬眠・2025 大問 3 (9) の選択肢 | 2022 | 大問としては 2022 が最後です |
| 理科 | 気象(雲・天気図・気温) | 2022 | 2022 | 資料に残る 10 年で最頻の単元(気象 13%)なのに 3 年空き。戻る候補の筆頭です |
| 理科 | 月・月の満ち欠け | 2011 | 2011 | 星座は 2024 に出ましたが月は長く空いています |
| 理科 | ばね | 2015 | 2015 | てこ(2023)と交互に来る単元ですが長く空いています |
| 理科 | 電気回路・豆電球 | 電磁石は 2024。回路そのものは資料に記録なし | 資料の範囲内に無し | 電磁石の次に来る候補です |
| 社会 | 地形図の読図(等高線・地図記号・縮尺計算) | 2025 大問 1 問 8 (1) は市街図の経路をたどる形 | 等高線を含む形は資料の範囲内に無し | 等高線・縮尺計算を含む本格的な形は精読した 3 年にありません |
| 社会 | 選挙制度 | 2011 以来 | 2011 | — |
| 社会 | 工業・貿易 | 2011 に大問。2024 は木質バイオマス | 2011 | 工業地帯の分布は長く空いています |
| 社会 | 国際社会・国連の仕組み | 2010 に大問 | 2010 | SDGs の形では 2023 に触れられています。ただし国際機関の働きそのものを扱う大問は 2010 以来出ていません |
| 社会 | 農業・畜産 | 大問の主軸としては 2022 が最後 | 2022 | — |
10. 形式面の注意
- 全体(2026 年度要項): 国語 45 分 100 点、算数 45 分 100 点、社会・理科は合わせて 45 分で各 50 点(第 1 回のみ 4 科・2 科も選択可)。第 2 回・第 3 回は 2 科(国語・算数)、帰国生は算数 1 科 45 分。全ての回に保護者同伴面接があります(→1 節)。
- 算数: 45 分・100 点。小問は 21〜28 問で、3 年で増える方向です。短答が主軸(2023 76%・2024 93%・2025 86%)で、記号選択は 0〜2 問と少なく、答えを自分で書く形が中心です。記述は毎年 1 問、字数指定なし。作図は毎年 1 問(折り紙を折る・ドットプロットの完成・点対称の図の完成)で、定規・コンパスの指定は精読した 3 年の冊子からは確認できませんでした。円周率の指定は、精読した 3 年の設問文には現れていません(円の面積を直接求める大問が無い年が続いたためです)。
- 理科: 社会と合わせて 45 分・各 50 点。理科だけで 20〜25 小問あるので、1 問あたり 1 分弱です。記号選択が主軸(2023 52%・2024 65%・2025 67%)、短答が 20〜40%。記述は 1〜2 問で、字数指定は精読した 3 年ではどれにも付いていません。書き出しが指定される形はあります(2023 大問 1 (2) ②「過去の噴火の平均的な間隔と比較すると…」に続けて書く)。作図は 3 年で 1 回だけです(2024 大問 3 (2) 集気びんの中の空気の流れを矢印で書き入れる)。計算は濃度(2023)・噴火の間隔(2023)・ふりこの周期(2025)など各年 2〜4 問で、桁の指定が付くことがあります(2023「整数で答えなさい」)。図・写真・グラフのある小問が多く、ろ紙の観察図、種子の写真 9 枚、ハザードマップ、地震の分布図などを見て答える設問が本体です。
- 社会: 理科と合わせて 45 分・各 50 点で、社会だけで 25〜30 小問あり、読む文章の量に対して時間が厳しい形です。 記号選択が主軸(2023 と 2025 が 63%、2024 が 76%)、短答は 13〜16%。記述の比重は 2025 に大きく上がりました(記述 5 問・空欄に文を入れる形を合わせると 7 問。2024 は 2 問、2023 は 4 問で、3 年で最多です。2025 の傾向が続くかどうかは 1 年分だけでは決められませんが、記述の準備は厚めにしておきたいところです)。字数指定は精読した 3 年ではどの記述にも付いていません。文字種の指定(漢字何字で、など)は精読した 3 年では見当たりませんでしたが、資料に残る古い年(2010・2011)には「漢字 2 字で答えなさい」という形がありました。図表のある小問が半分以上で、写真から地域や被害を読み取る設問が毎年あります。
- 国語: 45 分・100 点。精読した 3 年の小問数は 18〜32 と幅があります。記述は 3〜5 問(全体の 16〜17%)、短答が 44〜61%、記号選択が 22〜39%。字数指定は多く(40〜60 字が中心)、図・グラフの入る設問は 3 年ともゼロです。漢字は毎年 5〜10 問で、読みと書き取りの両方が出ます。
- 空欄に「文」を入れる形: 社会で 3 年連続です。「< B > にはどのような文があてはまるとあなたは考えますか」「[ ______ ため。] の空欄にあてはまる文を考え、答えなさい」。答えの形が指定されるので、文末を合わせる練習が要ります。
- 選び方の指定: 「すべて選び」「3 つ選び」「あてはまらないものを」「順に並べ替えなさい」が理科・社会に毎年混じります。1 つ選ぶ形だけの練習では足りません。
- 図表の比重: 社会は図表・地図・写真のある小問が半分以上で、理科も同程度です。文字だけの問題集では練習になりません。
11. 学年別ロードマップ
小 4(土台)
- 計算の正確さ。とくに「わり算の商と余り」を小数まで出す形に早く慣れます。この学校の算数の大問 1 に 3 年連続で入っています。
- 単位(mm・cm・m・km、g・kg、mL・L)を体で覚えます。単位換算も 3 年連続です。
- 図をかく・折る・測る。折り紙、方眼のマス目、点対称。この学校は毎年 1 問、手を動かす作業を出します。
- 短い記述。「なぜそう思ったか」を 2 文で言う・書く習慣です。4 科目すべてに効きます。
- 漢字と語彙。同音異義語を「意味の違い」で覚える入口です。
- 時間計測はまだしません。
小 5(幅)
- 単元を一巡します。この学校の算数は大問 3 以降を毎年作り直すので、単元プールの網羅(全分野をひととおり学び終えること)がそのまま得点になります。速さ・割合・売買損益・水量とグラフ・規則性・場合の数・平面図形・資料の読み取りを、8 節の年度×大問の題材表を「一巡する単元リスト」として使います。
- 理科は 4 分野を均等にします。この学校は分野の座席が固定されていないので、「苦手分野を作らない」ことが最優先です。とくに気象・状態変化・てこ/ふりこ・人体。
- 社会は資料を読む練習をします。表・グラフ・写真・地図から「読み取れること」を口で言えるようにします。年号の暗記よりこちらが先です。
- 記述を 2〜3 文で書く習慣をつけます。理由を添えて意見を言う形です。この学校は 4 科目でこれを問います。
- 国語は随筆・エッセイを読む量を増やします。物語文だけに偏りません(ただし国語の資料は 2015 年度までのため、直近の形式は市販の過去問集で確認してください。→13 節)。
小 5 の週の器は「平日 15 分×5 + 週末 60 分」を基本形にします。平日 15 分は単位換算や漢字・短い記述に、週末 60 分は算数の単元一巡と理科の 4 分野学習に充て、社会は資料を読む練習、国語は随筆を読む時間に割り付けます。
小 6(仕上げ)
- 上の 7 節の 8 項目に取り組みます。
- 算数は大問 1・2 を年度をまたいで縦に、大問 3 以降は年度通しで時間を計ってという二本立てです。座席が固定されている部分と作り直される部分で、演習のやり方を変えるのがこの学校の要点です。
- 理科・社会は 45 分の通し演習を複数回行います。どちらから解くか、どこで見切るかを決めておきます。
- 記述の答案を人に見てもらいます。字数指定内に収まっているか、資料の数字を引用できているかを確認します。
この学校は小 4 から始めるとどこで差がつくか
小 5 での全分野の一巡と、小 4 からの「書く習慣」です。座席が固定されているのは算数の 12 小問だけで、残りは毎年作り直されます。だから「この学校の頻出問題だけを詰める」やり方は効きにくく、単元の穴を作らないことが最終的にいちばん効きます。そのうえで、この学校は 4 科目すべてで「読んで、自分の言葉で書く」ことを問い続けています。40〜60 字で理由を書く力は一夜では作れないので、小 4・小 5 のうちから「なぜそう思ったか」を口に出し、短く書く習慣を作っておくと、小 6 で過去問に入ったときの伸びしろが大きくなります。
12. この学校と併願するなら
観点は勉強が転用できるかだけです(同じ形式・同じ頻出単元・同じ問い方なら、過去問演習が二重に効きます)。難易度・偏差値帯・通学圏・合格可能性・お子さんとの相性は扱っていません。
- 駒込中学校(東京都)— 4 科目全体の作りが最も近い。とくに理科と社会。共学で、2027 年度は 2 月 1 日・2 月 2 日の同じ時間帯に入試が重なる回があります。
- 横須賀学院中学校(神奈川県)— 理科・社会の資料の使い方が近い。共学で、2027 年度は 2 月 1 日の同じ時間帯に重なる回があります。
- かえつ有明中学校(東京都)— 理科の作りがとくに近い。共学。
8 校の一覧・記述量・注意は 併願候補ページ へ。
この学校は第 1 回が 2 科・4 科の選択制、第 2 回・第 3 回は国語・算数の 2 科です。2 科で受けるつもりでも、併願先が 4 科目校の場合、理科と社会はこれらの回の準備とは別に立てる必要があります。
近さは、科目ごとの「大問数・小問数・記述と選択の比率・図表の比率・同じ位置に来る単元の一致・設問文の使い回し」の距離と、単元分布の似かたを合成したものです。同じ問題が出るという意味ではありません。国語は聖ヨゼフ学園の資料が 2015 年度までしか無いため、どの候補校とも比較できていません。
13. 資料の限界
- 入試回が特定できません。 過去問データベースには 1 校 1 年 1 科目につき 1 冊しか収録されておらず、多くの年の表紙に回名がありません。理科・社会が出るのは 4 科の第 1 回だけなので、理科・社会は第 1 回相当と考えてよいですが、算数・国語がどの回のものかは断定できません。国語の 2010・2015 年度の表紙にあった「A 方式 1 次」は現在の呼び方と違います。第 2 回・第 3 回の傾向はこの資料からは分かりません。
- 年の欠けがあります。2012〜2014・2016・2017・2021 は全科目とも資料が無く、2026 年度も 4 科目とも資料にありません。したがって「3 年連続」と書いたものは 2023・2024・2025 の 3 冊で確かめたもので、2026 年度がどうだったかは含んでいません。
- 国語は 2015 年度までの 3 冊のみです(著作権処理の関係で掲載されない年が多いためです)。しかも中学の共学化は 2020 年なので、精読した国語はすべて女子校だった時期の問題です。国語について書いたことは、直近の入試には当てはまらない可能性があります。市販の過去問集で確認してください。
- 機械の集計に誤りが 2 か所あり、原本で確かめて訂正しました。
- 国語の「字数指定のある冊 0%」という集計は誤りです。精読した 3 冊すべてに「三十字以内」「五十字以内」「七十字以内」などの字数指定つき記述がありました。
- 理科の「2025 年に大問数が 4 から 3 に減った」という読み方は当たりません。2025 の大問 2 は水の状態変化と地震・防災の 2 題材、大問 3 は人体と動物の分類の 2 題材が 1 大問に入っている作りで、扱う分野の数は 3 年とも変わっていません。
- 国語の出典一覧に行の欠けがあります。2010 年度の大問一の詩は、原本の本文末尾に「(小野十三郎『校庭で』)」と記されていますが、出典の一覧にこの行がありません。他の 4 件(石川拓治『奇跡のリンゴ』2010、茨木のり子『詩のこころを読む』2011、小関智弘『町工場・スーパーなものづくり』2011、黒柳徹子『小さいときから考えてきたこと』2015)は原本末尾の表記と一致しています。
- 転写の読み落としの可能性があります。分析に使ったのは問題冊子の文字起こしで、実物の紙面ではありません。図・写真は文字による説明に置き換わっているため、図そのものの細かさ(地図の縮尺、写真の見え方)は再現できていません。数式や設問番号に軽微な崩れのある箇所もありました。
- 配点は分かりません。科目ごとの満点は 2026 年度要項で分かりますが、設問別の配点はどの冊子にも印刷されていません。記述と選択のどちらに重みがあるかは推測できません。
- 校名について: 2027 年 4 月に校名が変わる予定という記録があります。過去問集を探すときは、現在の校名「聖ヨゼフ学園中学校」で探すのが確実です。
- 社会の国際社会・SDGs に関する記述には、全体傾向を示す原文(「SDGs の形では毎年触れる」)と、精読した 3 年での具体的確認(2023 に限り確認できた)の 2 つがあったため、9 節では両方の情報を保持する形でまとめました。
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数字はすべて出所つきで、換算や評価語は足していません(→ 方法論)。合格可能性・お子さんとの相性は扱いません。更新 2026-08-17。
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