関東中学受験データasmon.ai/kanto — 265校・出所つき保存した学校

親が受けた中学入試と、子どもが受ける中学入試は何が同じで何が違うか

6 年生の秋、子どもが志望校の過去問を机に広げています。親のあなたも中学受験をした。速さ、割合、平面図形。単元の名前は覚えていて、横から「これは比で解ける」と声をかけられそうな気がする。ところが紙面をめくると、問題の並び方も、文章の長さも、答えを書く欄の形も、記憶とどこか違う。どこまでは自分の経験で教えてよくて、どこからはいまの紙面を見直すべきなのか。

この記事の答えはこうです。親が覚えている単元の名前は、いまも役に立つ。改めて見るべきなのは、読む量・大問の組み立て・答え方の 3 つ。 関東の中学校の過去問を、2010〜2013 年度と 2023〜2026 年度の両方に冊子がある同じ学校どうしで比べて、そう考えます。

たとえば巣鴨中学校の算数。2011 年度(第I期)は大問 5 つで、小問は 3 問ずつ、計 15 問でした。2023 年度(第1期)は大問 4 つ。小問は同じ 15 問ですが、大問 1 に 6 問が集まっています。解答用紙も違います。2011 年度は大問 1 の各問に「式」を書く欄がありましたが、2023 年度の大問 1 は 6 問の答え欄だけで、「式」欄は大問 2 から現れます。出てくる単元の名前が同じでも、子どもが時間をかける場所と、書いて見せる場所が動いています。

単元の名前は、いまも通じる

「自分の頃と単元が違っていたら、口を出すと混乱させるのでは」という心配は、算数については小さくてよさそうです。

算数で両期間に確度「高」の冊子がある同じ 158 校の小問を 8 つの単元に分けて数えると、どの単元も、二つの期間の割合の差は 0.6 ポイント以内でした。

横にスクロールできます

単元 2010〜2013 年度 2023〜2026 年度
計算 22.3% 21.7%
割合・文章題 19.2% 19.1%
平面図形 16.0% 15.8%
数の性質・規則性 13.5% 14.1%
速さ 12.8% 12.6%
立体図形 9.8% 9.7%
場合の数・論理 6.0% 6.1%
資料・グラフ 0.4% 0.8%

「これは速さ」「これは平面図形」と、単元の名前で子どもと話すのはそのまま使えます。苦手な単元の見当をつけるときも、親の記憶は頼りになります。そのうえで、同じ単元が紙面のどこに、何問まとめて出てくるかは、次の節のとおり学校によって変わっています。

大問の組み立ては、変わった学校が多い

自分の受験の感覚で「大問を一つずつ片づければいい」と声をかけたくなります。けれど、大問の数と、一つの大問に入る問数が変わった学校があります。

大妻嵐山中学校の算数がその例です。2011 年度(一般第1回)は大問 5 つ・小問 8+8+3+3+3 の計 25 問、2023 年度(第1回一般)は大問 4 つ・小問 10+10+3+2 の計 25 問。総数は同じまま大問が 1 つ減り、計算と短い問題を並べた最初の 2 つの大問が、8 問から 10 問に増えました。巣鴨と同じく、前のほうの大問に問が集まる組み立てです。

算数で両期間に確度「高」の冊子がある同じ 158 校で見ると、大問数の中央値は 6 題から 5 題に減り、小問数の中央値は 20 問のままでした。学校ごとに古い期間と新しい期間を比べると、大問が減ったのは 58 校、増えたのは 26 校、同じは 74 校です。4 科を並べると、大問の数がはっきり動いたのは算数です。

横にスクロールできます

科目 大問数の中央値 小問数の中央値 学校数
国語 2 → 2.5 題 22 → 20.5 問 46 校
算数 6 → 5 題 20 → 20 問 158 校
理科 4 → 4 題 23 → 23 問 127 校
社会 3 → 3 題 28 → 27 問 177 校

志望校の冊子を、古い年度と新しい年度で 1 冊ずつ並べてみてください。解答用紙で大問の数と、大問ごとの問数を数えると、どこに問が集まっているかが分かります。それが分かれば、「前半の大問にどれだけ時間を使うか」を子どもと一緒に決められます。

読む量は、増えた

国語の過去問を親が読んでみると、本文を読み終えるだけで思った以上に時間がかかります。

国語で両期間に確度「高」の冊子がある同じ 46 校では、本文の字数の中央値が 6,478 字から 7,459 字へ、981 字伸びました。学校ごとに比べても、伸びたのは 37 校、縮んだのは 9 校です。そのあいだに小問数の中央値は 22 問から 20.5 問に減っています。問の数だけで量を測ると、この変化を見落とします。紙の量でも向きは同じで、A4 に換算したページ数の中央値は 4 科とも増えました(国語 14 → 18.5、算数 8 → 11、理科 10 → 12、社会 11 → 14)。

自分の頃の感覚で「この時間なら読み切れる」と見積もる前に、子どもが本文を読み終えるまでの時間を一度測ってください。年度ごとの字数の動きは、末尾の付録に表で置きました。

答え方は、知識の名前が同じでも違う

社会の過去問を見て「この用語なら覚えている」と思う問があります。けれど、いまの紙面ではその用語をそのまま書かせるとは限りません。

社会で両期間に確度「高」の冊子がある同じ 177 校では、小問に占める選択の割合の中央値が 51.9% から 60.0% に、記述(文で説明や理由を書く問)の割合が 4.4% から 6.7% に上がりました。学校ごとに比べると、選択が増えたのは 115 校・減ったのは 57 校、記述が増えたのは 94 校・減ったのは 55 校・同じは 28 校です。知っている用語を、選択肢から選ぶ形や、文で説明する形で答える問が増えた、ということです。

国語の記述は、数え方で見え方が変わります。同じ 46 校の冊子をまとめて数えると、小問に占める記述の割合の中央値は両期間とも 18.8% で同じ。各校を同じ重みにすると 18.0% から 15.1% に下がり、学校ごとに比べると増えた 25 校・減った 18 校・同じ 3 校です。どちらの数え方でも言えるのは、いまの国語にも文で書く問がしっかり残っていること。言えないのは関東全体で増えたか減ったかの向きで、それは志望校の冊子を数えて確かめるものです。

用語や知識を覚えているかの確認は、親がそのまま手伝えます。答え方、つまり選ぶのか、文で書くのか、巣鴨の解答用紙のように式をどの大問で見せるのかは、記憶でなく志望校の解答用紙で確かめてください。

数え方と出典

比べたのは、2010〜2013 年度と 2023〜2026 年度の両方に、書き起こしの確度が「高」の冊子がある同じ学校です。科目ごとに国語 46 校・算数 158 校・理科 127 校・社会 177 校、あわせて 221 校・2,120 冊。中央値は期間ごとに冊子をまとめて求め、学校ごとの増減は各校・各期間の中央値の大小で比べました。1 冊は各年度に収録された 1 回分で、入試回を全年度そろえたものではありません。大問・小問の区切りは書き起こしの数え方によります。

この記事で使った主張は次のとおりです。数字の根拠と数え方の注意の全文は、research/kanto_type/knowledge/claims/<id>.yaml にあります。

調べ方は 調べ方、この資料の限りは この資料の限り にあります。

付録:国語の本文の字数(年度ごと)

同じ 46 校の確度「高」の冊子で、本文の字数の中央値を年度ごとに並べました。2010 年度の 5,872 字から 2026 年度の 8,013 字まで、毎年増えたわけではなく上下しています。各年度の冊数は 22〜43 冊です。

横にスクロールできます

年度 冊数 本文の字数の中央値
2010 39 5,872 字
2011 31 6,241 字
2012 32 7,084 字
2013 29 6,855 字
2014 29 6,451 字
2015 40 6,585.5 字
2016 43 6,571 字
2017 34 7,305.5 字
2018 34 7,299 字
2019 32 6,843 字
2020 28 7,095.5 字
2021 25 6,732 字
2022 28 7,246.5 字
2023 33 7,343 字
2024 36 7,419.5 字
2025 23 7,092 字
2026 22 8,013 字

次に使う道具 — 科目と試験時間を並べて見るなら 比較。


特集の一覧へ

ほかの特集: 2027 年度の 2 月 1 日、受けられる学校と午前・午後の組み方/志望校の「よく出る単元」は、どの単元から固めるかの目安になるか

数字は各校の募集要項・入試結果・過去問の書き起こしから数えたものです。合格可能性・学校の優劣は扱いません(→ 資料の限界・方法論)。更新 2026-10-09。