過去問を 22 年分並べると、何が「毎年」と言えるのか——続いている所と、数えられなかった年
問い
志望校の過去問を何年分も並べてみると、毎年同じように出ているものが見えてきます。塾の資料や学校の分析にも「◯年連続」「毎年必ず」と書かれていることがよくあります。
その「毎年」は、どこまで信じてよい言葉なのでしょうか。毎年出ているなら、来年も出ると考えてよいのでしょうか。
このサイトの立場
「毎年」と言えるのは、数えた範囲の事実までです。来年も出るという予想ではありません。 そのうえで、「毎年」「◯年続く」を読むときは、次の 3 つを分けて見ます。
横にスクロールできます
| 続き方 | 中身 | このサイトでの書き方 |
|---|---|---|
| 切れ目なく続く | いちばん新しい年度から 1 年ずつさかのぼって、資料のある年が途切れずに同じ | 「◯年続く」「切れ目なく」 |
| 途中に数えられなかった年がある | 始まりと終わりの年度は分かるが、間に冊子が無い年や読み取りの確度が届かなかった年がある | 「◯年度の冊子から今と同じ」「数えられた冊子すべてで」 |
| 1 冊だけ | 比べる冊子が無い | 「同じ」とは書かない |
もう 1 つ大事なのは、何が同じなのかです。このサイトが数えているのは、大問と小問の数、どの大問の位置にどの分類の問いがあるか、記述か選択か、同じ設問文が再び出たか、です。問題の作りや解き方が同じかどうかは数えていません。
例 1:女子学院の算数の角度
女子学院の算数(一般入試・各年度 1 冊)では、角度を求める小問が、資料のある 22 年(2005〜2026 年度)のすべてにありました。そのうち 2009〜2026 年度の 18 年は、毎年大問 1 の中に入っています。
これは「切れ目なく続く」の例です。22 年のどの年度にも資料があり、どの年にも角度の小問がありました。
ただし、22 年のうち読み取りの確度が「高」の冊子は 5 年分です。残りの年は、起こした文字の上で角度の小問があることを確かめたもので、別に問題用紙の画像で図の種類を確かめた記録があります。同じなのは「角度を求める小問がある」ことで、図の形や求め方は年ごとに違います。
例 2:豊島岡女子学園の算数の大問 6・小問 18
豊島岡女子学園の算数(第 1 回)は、原本の問題用紙を 22 年分読んだ記録では、大問 6 つ・小問 18 の形が 22 年すべて同じです。
ところが、過去問の数を機械で数える側では、言い方が変わります。資料のある 22 冊のうち、読み取りの確度が「高」で大問と小問を数えられたのは 8 冊で、その 8 冊はすべて大問 6・小問 18 でした。2009〜2026 年度の範囲で、数えられなかった年が 10 年あります。確度が低い 14 冊も、機械の読みでは同じ形ですが、確かめられていません。
これが「途中に数えられなかった年がある」の例です。同じ学校の同じ科目でも、何で確かめたかによって「22 年すべて」と「数えられた 8 冊すべて」の 2 つの言い方になります。どちらも誤りではなく、確かめた深さが違います。
例 3:品川女子学院の社会の分野の並び
品川女子学院の社会(各年度 1 冊)は、資料のある 16 年(2010〜2025 年度)のすべてで、大問の分野が地理→歴史→公民の順に並んでいました。大問 1=地理・2=歴史・3=公民の 3 大問ちょうどの形は、16 年中 15 年です。
残りの 1 年(2022 年度)は、書き起こしで地理の大問が 3 つに分かれていて、機械の数では 5 大問になります。原本の紙面の番号では【1】〜【3】の 3 大問で、ほかの年と同じ形でした(原本で確認)。並びの順は 16 年同じで、機械の数で「3 大問ちょうど」になるのは 15 年、という読み分けです。同じ年度でも、何で数えたかで言い方が変わる例です。
例のない 3 つ目:1 冊だけ
3 つ目の「1 冊だけ」は、例を挙げにくい続き方です。比べる冊子が無いので、同じとも違うとも言えないからです。
たとえば、ある学校の理科の冊子が最新の 1 年分しか資料に無ければ、その年の大問の数は分かっても、それが前の年と同じかは分かりません。このサイトのまとめの一覧では、こうした科目を「1 冊だけ」と書き、「同じ」の数には入れていません。志望校の頁で「1 冊だけ」と書かれた科目は、手元の過去問集の古い年度と並べて、はじめて続き方が見えてきます。
関東の過去問で数えると
3 校の例を、関東全体の数で確かめます。
同じ位置に同じ分類の問いが続く席
過去問の資料がある 264 校で、学校×科目×大問の位置(このサイトでは「席」と呼んでいます)ごとに、最新年度から同じ分類の問いが何年続いているかを数えました。3 年以上続く席は 229 校・1,104 席あり、いちばん長いのは 22 年の 4 席でした。
そのうち 10 年以上切れ目なく続く席を持つ学校は、男子校 37 校中 31 校、女子校 69 校中 43 校、共学校 122 校中 67 校です。一覧は 同じ大問の位置に同じ単元が、10 年以上切れ目なく続く女子校 ほかにあります。
ただし、1,104 席のうち 937 席は、続いた年の中に読み取りの確度が低い冊子を含みます。3 年ちょうどの席が 291 席でいちばん多く、長く続く席は限られています。
大問の数が、10 年以上前の冊子から今と同じ
最新の冊子が 2025・2026 年度の 470 組(219 校)のうち、大問の数が 10 年以上前の冊子から今と同じ組は 217 組(146 校)でした。科目別は算数 80・理科 63・社会 63・国語 11 です。
ここで目を向けたいのは、217 組のうち、範囲の中に数えられなかった年が 1 年も無い組は 3 組だけ、ということです。ほとんどは「途中に数えられなかった年がある」の続き方で、「10 年連続」とは書けません。一覧は 算数の大問の数が、10 年以上前の冊子から今と同じ女子校 ほか、科目と男女の属性ごとにあります。
一方で、前の年と両方そろって数えられた組を比べると、大問の数が前の年と違った組は、2017〜2026 年度の各年で 11〜26% ありました。形が長く続く学校がある一方で、毎年どこかで形が変わっています。
記述が、資料のある年すべてに出る
書いて答えさせる小問(記述)が、資料のある冊子すべてにある学校も数えました。
横にスクロールできます
| 科目 | 冊子が 5 年分以上ある学校 | すべての冊子に記述がある学校 |
|---|---|---|
| 国語(男子校) | 38 校 | 27 校 |
| 国語(女子校) | 62 校 | 55 校 |
| 国語(共学校) | 94 校 | 58 校 |
| 理科 | 243 校 | 55 校 |
| 社会 | 244 校 | 100 校 |
ここでの「毎年」は、暦の上で毎年という意味ではなく、資料のある年すべて、という意味です。資料の無い年は飛ばして数えています。一覧は 国語で書いて答えさせる問題が毎年出る女子校・理科・社会 ほかにあります。
志望校の「毎年」を読むときに見る 3 つ
ここまでを、志望校の資料を読むときの確かめ方にまとめます。
- その「毎年」は、何年度から何年度までで、途中に抜けがあるか。学校の過去問の頁の「大問数の変化点」には、「数えられなかった年が◯年」と書いてあります。抜けがある場合は、手元の過去問集でその年の形を確かめられます。
- 同じなのは何か。大問の数か、大問の位置にある分類か、記述があることか。「同じ問題が出る」とは別の話です。
- 何で確かめたか。機械で数えた冊子か、問題用紙の画像まで読んだものか。このサイトの深掘り記事は原本を読んだもので、まとめの一覧は機械で数えたものです。
この 3 つが分かると、塾の資料や過去問集の「◯年連続」も、同じ物差しで読み直せます。数えた範囲で続いているものは、過去問を解くたびに出会う所なので、どの年度から解くかを決めるときの材料になります。ただ、それは来年も出るという予想ではなく、続いてきた事実です。
名前の挙がった学校の頁
数え方と出典
- 女子学院の角度:C-0142。豊島岡女子学園の大問と小問:C-0062。品川女子学院の社会の並び:C-0063。2022 年度の大問の数は、原本の紙面で確かめた訂正の記録(年表の訂正の行)。
- 同じ位置に同じ分類の問いが続く席:C-0022(関東全体)・C-0105(10 年以上切れ目なく・男女別)。
- 大問の数が 10 年以上前の冊子から同じ組:C-0150。前の年と違った割合:C-0042。
- すべての冊子に記述がある学校:C-0100(国語)・C-0113(理科)・C-0114(社会)。
留保(各 claim の記録に詳しく書いてあります):
- 席・大問の数・記述の有無は、過去問の書き起こしを機械で数えたもので、原本の紙面で反復を確かめた範囲ではありません(C-0022・C-0100・C-0105・C-0113・C-0114)。
- 読み取りの確度で絞っていない数があります。確度「高」は読み取り記録の区分で、原本と照合した誤りの数ではありません(C-0062・C-0105)。
- 席で同じなのは分類の名前で、問題が同じという意味ではありません。資料の無い年があると、そこで数えるのを止めています(C-0022)。
- 資料は 1 校・1 年度・1 科目につき 1 冊(その年度の第 1 回にあたるもの)で、第 2 回以降の回は入っていません。
- 何を見て何を見ていないかは limits、数え方の全体は methodology にまとめています。
ほかの特集: 品川女子学院の社会の深掘り記事は、どこから読むか——16 年分を並べた記事の、節ごとの使い方/募集要項は「回ごと」に読む——科目の数・1 科目の回・面接・1 月の日付(2027 年度・関東 265 校)/算数 1 科目だけで受けられる入試、2027 年度は関東に何校?——21 校の要項で見る日付と中身
数字は各校の募集要項・入試結果・過去問の書き起こしから数えたものです。合格可能性・学校の優劣は扱いません(→ 資料の限界・方法論)。更新 2026-11-01。