関東中学受験データasmon.ai/kanto — 265校・出所つき保存した学校

志望校の「よく出る単元」は、どの単元から固めるかの目安になるか

問い

6 年生の秋、志望校が数校に絞れてきて、これから過去問に入るという時期。塾の対策頁や過去問集を開くと、学校ごとに「よく出る単元」の表が載っています。このサイトにも、学校名を挙げて「この学校の算数と理科のよく出る単元を見せてほしい」という声が届きました。

その表を見て、過去問の前に「どの単元から固めるか」を決めてよいのでしょうか。表の数字は、どこまで読んでよい数字なのでしょうか。

このサイトの立場

単元の順位表は、来年出る単元の予想でも、固める順番の表でもありません。 読むのは次の 3 つです。

  1. 関東の真ん中からのずれ。その単元が、関東のほかの学校と比べてどれだけ多いか(少ないか)。
  2. 続いている席。大問 1 は計算、のように、同じ位置に同じ分類の問いが数えた範囲で続いているか。
  3. 理科は分野の均等。理科は細かい単元の順位を使わず、物理・化学・生物・地学の割合を見る。

まず 1 校の例:品川女子学院の算数

品川女子学院の算数(第 1 回)を、2023〜2025 年度の 3 冊の原本で読みました。

3 冊とも 4 大問・20 小問で、形はそろっています。大問 1 が計算 4 問、大問 2 が一行問題 10 問、大問 3 と大問 4 が 3 問ずつ。2019〜2022 年度の 4 冊は 6 大問だったので、2023 年度からいまの形です。

順位表で見落とされやすいのは大問 2 です。この 10 問に、8 分類のうち 5〜7 分類が並びます。割合・文章題、速さ、数の性質・規則性、場合の数・論理、平面図形の 5 分類は 3 冊とも入っていました。一方、後半の 2 題は 2023 年度が立体図形と数の性質、2024 年度が規則性と平面図形、2025 年度が平面図形と割合(食塩水の濃度)で、年ごとに分類が変わります。

品川女子学院の算数の「よく出る単元 上位 5」は、割合・文章題 21%・数の性質・規則性 19%・平面図形 16%・計算 15%・場合の数・論理 12% です。この並びだけを見ると「割合・文章題から固める」と読みたくなります。けれども、割合・文章題が上位に来るのは、関東のほとんどの学校で同じです。品川女子学院らしさは順位の 1 位ではなく、5 位の場合の数・論理が関東の真ん中の倍ほどあること、そして大問 2 の一行問題にいろいろな分類が並ぶことのほうに出ています。

この見方を、関東全体の数字で確かめます。

「よく出る単元 上位 5」は、学校を選り分けない

算数の資料が 5 年分以上ある関東の 252 校で、学校ごとの「よく出る単元 上位 5」を数えました。8 分類のうち、小問の数を年度の重みつきで足して多い順に 5 つです。

学校の数で数えても同じです。割合・文章題が上位 5 に入る学校は 240 校(95%)、平面図形 229 校、計算 209 校、数の性質・規則性 209 校、速さ 194 校。上位 5 に入ること自体は、ほとんどの学校に当てはまります。

つまり、志望校の上位 5 が「割合・文章題・平面図形・計算・数の性質・規則性・速さ」だったとしても、それは関東の多くの学校と共通の重さを言っているだけです。ここから決められるのは「全校で共通に重い単元」までで、志望校だけ重い単元は、順位表からは出てきません。

読むもの 1:関東の真ん中からのずれ

そこで、学校ごとの単元の割合を、関東 252 校の真ん中(中央値)と同じ表に並べます。太字はその学校の上位 5、かっこの中は 252 校の中で上から数えた位置です。

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分類 関東の真ん中 品川女子学院 かえつ有明 大妻 山脇学園
計算 20.3% 14.5%(181) 23.8%(91) 14.1%(184) 11.6%(204)
割合・文章題 17.5% 21.3%(79) 20.7%(84) 28.8%(13) 23.0%(56)
平面図形 16.1% 16.0%(129) 14.0%(165) 14.2%(161) 17.5%(91)
数の性質・規則性 13.9% 18.5%(49) 10.1%(199) 15.6%(95) 11.0%(187)
速さ 12.5% 10.0%(182) 14.3%(84) 14.6%(77) 15.4%(62)
立体図形 9.7% 6.9%(193) 9.3%(137) 9.9%(123) 18.8%(13)
場合の数・論理 5.9% 11.5%(31) 5.5%(135) 2.7%(229) 2.3%(232)
資料・グラフ 0.2% 1.2%(68) 2.3%(35) 0.0%(134) 0.4%(113)

関東の真ん中は、学校ごとの割合の中央値です。8 つを足しても 100 にはなりません。

この表で、4 校の「らしさ」は順位の 1 位ではなく、真ん中から離れたところに出ます。

少ない側のずれもあります。山脇学園と大妻の場合の数・論理は、それぞれ 252 校中 232 番目と 229 番目。品川女子学院の計算は 181 番目、かえつ有明の数の性質・規則性は 199 番目です。

山脇学園の立体図形を原本で確かめる

数字のずれが、紙の上で本当にそう見えるか。山脇学園の算数(A 入試)を、2023〜2026 年度の 4 冊の原本で確かめました。

4 冊とも 4 大問(小問 20・19・17・18)。立体図形の小問(水そう・水量とグラフを含む)は次のとおりで、4 冊とも 1 問以上あり、置かれる場所は大問 1 の一行問題か大問 4 でした。

水そうの問いを除くと 4・1・2・2 問です。年によって問数の幅は大きく、量は一定ではありません。ただ、4 冊とも立体図形が出ていて、関東の真ん中より多い側にいることは、原本でもそのとおりでした。

読むもの 2:数えた範囲で続いている席

もう 1 つ、順位表に出てこないのが「席」です。席とは、学校×科目×大問の位置のこと。大問 1 にどの分類の問いが置かれてきたかを、最新の年度からさかのぼって数えました。

過去問の席が数えられた 229 校のうち、算数の大問 1 の席の分類が「計算」(四則計算・逆算などを含む)で、最新年度から 3 年以上続く学校は 188 校、10 年以上は 111 校でした。

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学校 算数の大問 1 の席 数えた範囲で続いている年数
品川女子学院 計算(四則計算) 12 年(2014〜2025 年度)
かえつ有明 計算(四則計算) 12 年(2014〜2025 年度)
大妻 計算(四則計算) 16 年(2011〜2026 年度)
山脇学園 割合・文章題 計算の席ではない

品川女子学院の 2023〜2025 年度の原本でも、大問 1 は 3 冊とも計算 4 問で、(4) は筆算の空欄うめでした。

ここで続いているのは「大問 1 に計算の分類が置かれる」ことで、同じ問題が出るという意味ではありません。それでも、席が続いていれば、試験の最初に何が来るかの見当はつきます。品川女子学院・かえつ有明・大妻では、計算が順位表の何位にいるか(どの校も上位 5 には入っています)より、大問 1 の席に数えた範囲で続いていることのほうが、準備の重さを決める材料になります。

読むもの 3:理科は単元の順位で決めない

理科の「よく出る単元」の表は、算数よりさらに慎重に読む必要があります。

理科の資料が 5 年分以上ある 243 校で、細かい単元(39)に分けて数えると、

品川女子学院の理科の 1 位は「光」8.6%、続いて植物のつくりとはたらき 8%・星・星座 5%・浮力・密度 5%・月 5%。かえつ有明の 1 位は浮力・密度 8.6%、大妻は気象 11.3%、山脇学園は植物のつくりとはたらき 8.2% です。1 位といっても小問の 1 割前後です。細かい単元は 1 校あたりの小問が少ないので、上位 5 の顔ぶれは数問の振り分けで変わります。

しかも、この顔ぶれは数え方で大きく動きます。読み取りのいちばん確かな冊だけで数え直すと、上位 5 の顔ぶれが元と同じだった学校は、理科で 239 校中 12 校だけでした(1 位が同じは 96 校)。算数では 249 校中 175 校が同じ(1 位が同じは 199 校)なので、理科の細かい単元の順位は、算数よりはるかに揺れやすい数字です。

揺れにくいのは分野の割合です。同じ数え直しで、物理・化学・生物・地学の割合のずれは最大のものでも中央値 3.7 ポイント、割合のいちばん大きい分野は 170 校で同じでした(算数の 8 分類のずれは中央値 3.1 ポイント)。

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分野 関東の真ん中 品川女子学院 かえつ有明 大妻 山脇学園
物理 27.4% 29.9%(72) 28.1% 29.0%(87) 35.6%(9)
化学 20.4% 18.0% 15.3% 17.8% 16.6%
生物 24.4% 22.6% 21.6% 24.5% 24.1%
地学 24.2% 25.0% 30.4%(5) 24.5% 21.1%
分野横断 3.6% 4.6% 4.6% 4.3% 2.5%

太字はその学校でいちばん大きい分野、かっこの中は 243 校の中で上から数えた位置です。山脇学園の物理 35.6%(9 番目)とかえつ有明の地学 30.4%(5 番目)は関東の真ん中から離れています。品川女子学院と大妻のいちばん大きい分野は物理ですが、72 番目と 87 番目で、真ん中に近い側です。

品川女子学院の理科を原本で確かめる

品川女子学院の理科(第 1 回)を、2014〜2025 年度の 12 冊の原本で読みました。

12 冊とも【1】【2】【3】の 3 大問で、【1】だけが Ⅰ・Ⅱ の 2 題に分かれ、全部で 4 題です。2015〜2025 年度の 11 冊は、4 題が物理・化学・生物・地学の 1 題ずつでした。どの分野がどの位置に来るかは年ごとに入れかわり、【1】Ⅰ は地学 5 年・物理 4 年・化学 2 年で、生物は 11 年のあいだ一度も【1】Ⅰ に来ていません。2014 年度だけは物理が 2 題(熱と光)・地学・生物で、化学の題がありませんでした。

細かい単元の 1 位「光」8.6% より、品川女子学院の理科で読むべきなのは「光から固める」ではなく、4 分野が 1 題ずつ、位置を入れかえて並ぶという形のほうです。

名前の挙がった学校について

学校名を挙げて届いた声に、この記事の見方で答えます。

どの学校についても、ここに並べた数字は過去に出た問いの量と置かれ方を数えたもので、準備の重さを決めるときに「全校で共通に重い単元」と「志望校だけ重い単元」を分けるための材料です。

数え方と出典

留保(各 claim の記録に詳しく書いてあります):

次に使う道具 — 科目と試験時間を並べて見るなら 比較。


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